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< テンペスト >(ドラマ視聴・全10回)

録画していたのをようやく見終わった。

面白かったですよ。疾風怒濤ぶりが原作とはまた違って。
まあ「ばれるやん!」と突っ込みたくなるのは原作と一緒なんですけどね。

えー、誰がエライかというと、……やっぱり聞得大君ですねえ。
高岡早紀。怪演だ。ま、怪演まではいかないかな。奇演。妙演。いい味出してました。
コミカルも、しっとりも。両方イケる。
次にエライのは……徐丁垓。これは怪演も怪演。超怪演だ。正直気持ち悪かったし。
GACKTがそこまでやるとは――知ってたけどね。

「えー、浅倉雅博があんな優男ー?」と見る前は不満だった谷原章介も、さすが役者というか、
むしろ後半、意地が悪くなってからの方が面白かったな。
だが初シーンの優男っぷりには失笑した。ロリコンか?
かたせ梨乃、はまってたなー。場は少ないんだけど。真鶴との交流は泣けた。

スルメのように味があったのはオバァで、
山椒のようにピリリと辛かった……切なかったのは遠藤憲一。
この二人は大好き。出て来るだけで味わいがにじみ出る。

残念だったのは上原多香子……女優じゃない人としては大変に健闘していたと思うのですが、
やはり女優じゃない。彼女は彼女なりに良かったけど、選ぶとしたらもっと他にいただろう。
わりと後半、出が多い役柄だったしねえ。

そして完全に失敗だったと思うのは、なんと八千草薫。
本来わたしは、八千草薫がほぼ大好きなのだが、この役は違う。
この役は犬の噛み合いというか、ドタバタのいがみ合いをコミカルに見せなきゃしょーがないのに、
八千草薫は上品すぎるんだよ。彼女が出て来るだけで“正義”の後光が差してしまって……
話自体をミスリードしてしまう危険性さえあった。キャスティングの失敗です。

琉球舞踊を相当長く見せてたな。話の超特急ぶりを考えたら異質なほどに。
が、そういうメリハリは好きだ。そういうところで多分ドラマの厚みが増すんだろう。
金子昇の踊りはがんばってたけど少々不満、仲間由紀恵はなかなかの雰囲気、と思っていた。

振り返って考えてみれば、登場人物はけっこうみんなちゃんとしたものを着てたなあ。
安く調達したものではなく。こういうところも話の厚みに寄与しますね。
昔の時代劇では、どこの古着屋から調達しました?っていうのもわりとあったから。
昔の時代劇で再放送されているものを見るとつくづくそう思う。けっこうヒドイ着物を着ているもの。

あ、でもでも、やっぱり「ばれるやろ!」というところは乗り越えられなくて。
むしろ文字で読んだ時より映像の方がキツかったわー。
いや、アンタそのまんまやないか!なんで周りの人は気づかん?
まだ側室になって、真っ赤な口紅とか鮮やかな紅型をまとうくらいになったら
多少の目くらましにはなるんだけど、側室になる前の地味な絣を着ている頃なんか、
どう見たって孫寧温だろう!どっかで見たとかいうレベルじゃないだろう!
史実としては有り得なくても、庶民の女としての真鶴にも、派手な着物を着せてやれば良かったのに。
いかにも女性っぽい着物なら少しは見た目が違うのに、藍とか萌黄とか、
男性が着てもおかしくないような地味な着物ばっかりで。

全体的に考えれば、原作にあった、琉球という国そのものに対する思いは描けてなかったかな。
台詞やストーリーでは語られるのだが、語られたことがそのまま心に響くかというと、
そういうものではないからね。ここが描けていれば名作たりえたかもしれないが。
難しいです。しかもああいうジェットコースターな話を進行させながらなんて。

でも健闘したと思いますよ。いろんな意味で。
お疲れさま。

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