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< 三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 >

面白かった!「ステキな金縛り」に引き続き、映画が2連続アタリでウレシイ。

期待値が低かったのも奏功。
フツーのコスチューム物を予想していって、限りなくB級に近い娯楽大作が出て来たので、
すっかり嬉しくなってしまった。

また映像の作り方がツボだわ!
ヒストリカル・ヨーロッパ好きには堪えられん。まあ考証的には色々アレだろうが、
カロリーしかないとわかっていつつもつい食べたくなる見た目麗しいケーキのように、
単純に味わって幸せ。
映像もロケも衣装もみんな美味しかった!!

以下ネタバレ含む。

まさか「三銃士」でヴェネツィアから話が始まるとは思いませんでしたよ!
いや、当時こんなに夜景が明るいわけない……と思いかけて気付く。
ここ現代のヴェネツィアやん!映像的にいじってる部分は若干あるかもしれないけど。
そして、その後に続くヴェネツィアのシーンは、これはほぼそのままロケでしょう。
古風な松明を置くだけで十分使える。

そこで出て来るアトス……。
あれって絶対悪役だと思うんですけど!真っ黒の潜水服で運河からぬっと出て来るんですよ!
コワイってば!しかも、いくら衛兵(複数)との戦闘中だからって、
ミレディのあのボリュームのあるワサワサした衣装に気付かないなんて有り得へんやんか!
冒頭、話のテンポが早い。でも特に不満を感じることなく、いい感じ。

ああ、そうそう、ヤツはこういうの作るよねー。……と思った。
からくり階段とか罠とか。この場合の“ヤツ”はダ・ヴィンチのことですが。
しかしあの罠はそのまんまドラクエ……。いや、ドラクエが嚆矢というわけではないけど。
ミレディが走る速度に追いつけない罠では役に立たないんじゃないかなあ。

この調子で突っ込んでいきたいところだが、あまり細かく覚えてないので割愛。

あ、でもそれにしても、あの飛行船を紙切れ一枚から作り上げるって、
当時のイギリス工業従事者はどんだけ優秀なのか、と思った。
設計図がバッキンガム公爵の手に渡ってから(作中時間はともかく)、
飛行船の実物が出て来るまで、10分か20分しか経ってなかったんじゃないでしょうか。
平然と悠然と姿を現す飛行船。ないやろ、と言いたかった。

何しろほぼ全てにわたって美術がわたし好み。
冒頭のおもちゃの兵隊シーンとか、途中で挿入される移動シーンのセピアなデザインとか、
ありがちではあるが、ああいうの好き。
リシュリューの執務室もすごくいいねえ。数々出て来るロケ地が、微妙に見覚えがない場所で
口惜しかったのだが、たしかにドイツには行ったことがない。
ヴュルツブルグのレジデンツの階段室はもっとゴテゴテのバロックのイメージだが。
いや、しかし王宮は、建物の全体はヴェルサイユに見える。
細部はむしろフランス・バロックのリュクサンブール宮に見えるなー。
ヴェルサイユの鏡の間も映ってなかった?あれは別な場所なの?
街角は、プラハを思い出したけどなー。
衣装も、これでもか!と金をかけていて凄かったね。ただ、ダルタニアンの衣装は、
ぱっと見、その辺の皮ジャン着たおにーちゃんでした。

ちょっと前、BBC制作の「大聖堂」のドラマをちょこっと見たんだけど、
……考証がしっかりしているのが売りだったようだが、あまりにも画面が(話も)地味で、
2回しか見られなかった。やっぱり目に楽しいものの方がいいなあ。

CGバリバリのロンドン塔も許す。乗っ取った飛行船をたった4人で操縦かい!というのも許す。
普通落ちるやん!というのも許す。ああ、ノートルダム寺院を壊すな!というのも許す。
死ぬやん、普通。ダルタニアンもミレディも。というのも許す。
要は。――楽しきゃいいのだ、楽しきゃ。

キャスティングを堪能した。
誰が良かったって、アトス役のマシュー・マクファディンだっ!!
アンタ、前からそんなに美声だったか!?「プライドと偏見」で無愛想な領主役をやり、
「ロビン・フッド」で何だかをやり(記憶にない)、本作で見たのは3作目だが、
もしかしてアンタ、かっこいいか!?
ちょっと声にやられた。1/Fゆらぎを感じる。演技も良かったですしね。

ローガン・ラーマン。初。
可愛い。顔自体の可愛さだけではなく、表情が見てて楽しい。
パンフレットの写真だと、その表情の良さがあまり写されてないねえ。
……とてもカワイソウなことに、見開き2ページの一番大きい写真では、後頭部しか写ってないの!
主役なのに!!中央でベストショットを披露しているのはアトスとアラミスで。
この扱いはひどくないか。

ミラ・ジョヴォヴィッチって。
……「ジャンヌ・ダルク」の人なんですか!初めて知ったわ。
ジャンヌとミレディを並べてみると、とても同一人物には見えない。
「ジャンヌ・ダルク」は非常にドライな印象で、たしかテレビ録画で見て、
最後まで見られなかったんじゃないかと思う。
今回はいい作り上げ方をしてますねー。これがもっと甘ったるくなってたら食傷してたかもしれないし、
もっと悪どくなってたら、可愛くなくなっていた。
ミレディに魅力がないと、それに囚われているアトスもアホに見えますから。
しかしあの首飾りの間のピアノ線すり抜けは、やりすぎってもんでしょう。
もう少し慎重に行け。役柄としては首尾一貫してるが。
ただ、このシーンはダ・ヴィンチの罠と絵柄的に相当近くなったので、そこはマイナスだと思う。

オーランド・ブルームが悪役に!というのが若干の話題らしいです。
可もなく不可もなく。うーん、まあちょっとだけ可寄り、かな。
顔がいいので、あの顔であの衣装を着ているところを見るだけでいいような感じですな。
表情の作り方にジャック・スパロウを感じてしまったのはわたしの思い込みだろうか。

役柄としてもキャスティングとしても、細部として良かったなあ、と思うのは、
実はルイ13世とアンヌ王妃だったんですよね。
単にバカップル、あるいは単に頼りない子供、と描いてもおかしくない立ち位置じゃないですか。
でも、アンヌ王妃は幼いなりに何とか王妃としての立場を保とうと堅実に努力しているし、
王様の方は、そういう配慮はゼロだけれども、少なくとも王妃への恋心はありますよね。
キャスティングも、むしろ王様、王妃に見えない役者を持ってきて味わいがある。
可愛い2人でした。お気に入り。

確実に続編がある作りなので、楽しみにしている。
狙うか?「パイレーツ・オブ・カリビアン」に続く連続物。

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