著作を1冊も買っていないんだから、本人にとっては全くありがたくないだろうが、
とりあえず好きなので、にぎやかしのためにブログに挙げておく。
宮田珠己のエッセイは面白いと思います。
若干いまいちなのもあるけど、けっこうツボにハマるなー。
この本も、地下鉄の中で読んでずっとニヤニヤしっぱなし、自分、実にアヤシイ人でした。
まあ本的には、内容にふれるほどのものではないんだけど。
……っていうと、全然応援にもならないが、正直、言うほど中身がないんだから仕方がない。
では何を積極的に褒めるべきかというと、その脱力力。だつりょくりょくです、念のため。
この人の文章の脱力力は芸だと思います。
しかしこの辺に芸を認めるのは、――やはり少数派と言わざるを得ないのだろうか。
実は近くにいた人にこの本の一章を読んでもらってみたのだが、
彼女はクスリとも笑わず、一言述べてくれた感想も「……なるほど、そこを読むのか」という
とてもマトモなものだったため、マトモな人には向かないのかもしれない。
それでも(これが擁護になるのかは全く不明だが)この本にはいつもよりは若干、
意味があることも書いてあるのだぞ。例えば、
……と引用しようとして、引用するほど意味があることは書いてないなということを改めて認識した。
そこが価値だ!……多分、きっと。
しかし実は、こういうエッセイは一見どーでも書けそうで、そうでもない。
単に書き散らしたらただの塵芥にしかならん。
(今がチリアクタでないとは――むむむ、わたしは塵芥ではないと信じてるけど――)
文章を書くにおいて、一番難しいのは感じたことを書くことだと思っているのだが、
こういう感覚だけ勝負のエッセイは、……量産は出来なかろうなあ。
量産するためには常に新しい発見を(感性的に)続けていかなければならなくて、
けっこうしんどかろう。惰性で書いたら、すぐ陳腐化する。
宮田珠己の方向性を相当程度にグレードアップさせると、赤瀬川さんになるのではないかと思う。
彼も感覚勝負の人間で(実は頭もかなり使っていますが)、
それにもかかわらず世間的にけっこう当ててますからね。
トマソン、路上観察、老人力、新解さん、立体視等など。
赤瀬川さんはその辺を考えるとやはりタダモノではない気がする。
(家買ってからは、何でもかんでも引き受けるようになったのか、内容が薄くてしょーもないが)
宮田珠己がその域まで達するかどうかは、……まあ多分無理だとは思うが、
でも「ホンノンボ」なんていうワケワカランものにも目をつけてるし、
新しさは薄いが「巨大仏」や「ジェットコースター」という切り口も持っているんだから、
好きな旅行が出来る程度には彼には収入があって欲しいね。
……やっぱり1冊くらいは買ってあげようか。ただし文庫。4、50円の世界だが。
いいじゃん。好きなことをして生きていける人生が広い世間のどこかにあったってさ。
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こないだ宮田珠己、NHKの「週刊ブックレビュー」に出てたので見てみた。
……こっちが肩入れしているせいか、発言のたびに
「ああ、もうちょっとウマイこと言わないとテレビに呼んでもらえなくなるぞ」
とかハラハラしていた。余計なお世話ですが。
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