この人の「博士の愛した数式」は大好きなのだが……他の小説はほぼ未読。
だって、たっぷり毒が仕込んでありそうでコワイんですもの。
「博士の愛した数式」のようなきれいな話だけを書いてくれるのならアリガタイんだけどなあ。
しかしこの人、人間としては好きですねー。
まあわたしが小川洋子の人間の何を知っているわけでもないが、
日曜日にラジオで「メロディアス・ライブラリー」なる番組を持っておられまして。
わざわざ狙いはしないが、この時間帯に車に乗っていると楽しんで聴いている。
前にも書いたけど、この人は喋りでもちゃんと自分を表現出来るタイプ。
自分の感性の部分を。
感性の部分を喋るというのは、わたしにとっては“素面じゃ言えない”という類のことなのだが、
彼女はそれに素直に、生真面目に向き合う。
作家なんてのは素直一方では書けないはずだし、実際素直なだけの小説を書く人では絶対にないが、
この素直さは才能ですねー。いつも感心している。
そして素直さが素直に活躍しているのが対談。
以前に数学者の藤原正彦との対談本「世に美しい数学入門」を出しているが、
聞き方も上手だし、それでいて自分の表現はちゃんと出来ているし、言うことなし。
手放しの賛美ですな。
今回のこの本は対談相手が9人――外国人の場合は訳者も同席したケースがあるからのべ11人。
その中で、岸本佐知子相手の回と江夏豊の回が面白かったですね。
岸本佐知子相手の回は広い意味でのガールズトークと言うか……
「だよねーっ!」的な。(いや、もうちょっと礼儀正しい言葉づかいですが)
江夏豊は、小川洋子が熱狂的な阪神ファンということもあり、珍しいことに若干彼女の方が熱い。
でもこんな風に言ってもらえて、江夏も嬉しかろう。
やっぱり対談は仲良し同士だと読む方も楽しいね。
装丁はクラフト・エヴィング商會。
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