「オラクル」「アルコン」「スカラベ」の三部作。
最近三部作づいている。ライラの冒険と、イアン・ワトソンの「黒き流れシリーズ」と、
……あれ?そんなもんか。あとコレと。あ、この後シンクレア・ルイス「本町通り」を読む予定。
でもこれは三部作ではなくて、上中下の分冊でした。三部作とは似て非なるもの。
本作は井辻朱美訳に惹かれて読んでみた。
……うん。面白かった。のだが……。
期待する方向とちょっとずれたことで、肩すかし感があった。その分マイナスに感じてしまった。
タイトルと装丁から、もう少し重厚な話だと思っていたんだよねー。
予想より軽い。キャラクターを中心にした冒険物。
これならむしろライトノベル的な扱いで出版された方が似合ったんじゃないかというストーリー。
そこが唯一、瑕と言えば瑕かな。
そういうことを気にしなければ面白い話。その分さくさく読めるしね。
キャラクターは立っているし、筋は躍動感があるし、作者のサービス精神は十分。
道具立ても……まあ道具立ては現実世界のいいとこ取りで、基本をエジプトに置きつつ
あちこちの宗教要素をひっぱってきているのは安易っぽいが。
でも神様が非常に頼りない、不安定な存在であることは目新しさがあった。
(……とはいえ「黒き流れシリーズ」も信頼出来ない絶対者が出て来る話なんだけどね。
いや、考えてみればライラも頼れない天使とか出て来て同系統の話なのか?)
神と雨の女王の関係性がすっきり理解出来たとは言えないが……その辺はまあ、いいかな。
あ、そうそう、でも登場人物にセトという名前をつけるのはミスリードなので止めて欲しい。
そんな名前を付けると、実は悪い人なんじゃないかと思うじゃないですか。
(でも今wikiを見たら、セトって悪役一方ってわけでもないんですねー。
オシリス神暗殺のことしか知らなかったから、てっきり敵役だと思っていたのだが。
ほほう。セティ1世はセトから名前を取っているのか……。)
登場人物といえば、盗人の王ジャッカルがかっこよかったんだけど、彼はどう考えても黒髪でしょう!
話では金髪にされている。違和感があった。いや、彼は黒髪に切れ長の目であるべきだ!
……個人的な意見です。
平均点の面白さなので、あまり期待を大きく持たずに読んで吉。
期待しなければむしろ印象がいい、という作品だと思います。
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