こないだ読んだ「永遠の出口」が相当につまらなかったので、今回のこれも全然期待せずに読んだ。
……ら、面白かった。かなり楽しめた。
このくらい楽しませてくれれば有難いですよ。
ラムネ。の味ですね。
栄養にはならんけれども爽やかで口に甘い。懐かしさと、かすかに交じる追憶の苦み。
いやいや、こういう話を書けるなら早く言ってくださいよ、という感じだ。
――まあ感想としてはこれくらいですか。さっぱりしている小説だけに、
感想もあまりコメンドクサイ話にはならない。
うん。でも、そうだな。
フィクションの真骨頂は、別な世界に連れて行ってくれること。これに尽きると思う。
「永遠の出口」のどこがつまらなかったって、そのあまりに日常的すぎるところだよ。
等身大というもおこがましい。ありがちなことをべったり書いたような――
てなことを言っているが、もうどんな話だったかすら忘れてしまった。
こんなん、読む意味がないなあ。と思ったのは覚えている。
フィクションの真骨頂は、別な世界に連れていってくれること。
「DIVE!!」は、わたしを高飛び込みの世界に連れて行ってくれた。
人生で絶対に!経験しない、10メートルの飛び込み台の上に立たせてくれた。
それが価値だよ。この話のね。
あえて難癖をつけるとしたら、麻木コーチの行動がワンパターンなことかなー。
ま、気になるほどではないけど。
同じ年頃の少年たちを、7人?8人?よく書いたね。みんな魅力的。
大島コーチなんかものすごく類型的なんだけど好きだったなあ。
要一の母。文さん。前原会長。ほんのちょっとしか出てこないキャラクターたちが
愛しいのは、これは相当に書き手のテガラですよ。
それから、表現で時々気に入ったのがあった。主に笑える部分で。
その行を何度か読み返した。それも書き手のテガラ。
前原会長、何もコアラに魂を捧げなくたっていいでしょう。
「天国の母に」「生きてるわよ」――生きてるってば。
哺乳類とシダ類。――なぜここでシダ類。
森絵都。
彼女はこの他に、何かええもんを書いているのかね。
「ダイブ!!」に並ぶ、あるいは超える作品。それなら、また読みたいけどなあ。
ただ、こういうのはテーマに惚れこまなければ書けないもんだと思うから、
なかなか続けて書くのは難しいと思います。
まあとりあえず「風に舞いあがるビニールシート」は読もうと思っているけど。
感触的には「永遠の出口」に近い、日常系である気がする。
しまった……。今気付いたが、アイツの名前はシブキだったのか。
まるまる679ページ(わたしが読んだのは1巻本)、ずっとヒマツと読んでいたぜ……。
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