ほぼ3年前に(ほう、もうそんなになるか……。)宮本輝の「優駿」を読んだ。
その時映画も見てみたいとは思ったのだが、ツタヤまで行く気力が湧かず。
今回スカパーe2の無料視聴期間に放映していたので見た。
20年前の映画。うーん、みんな若いね。
緒方拳がまだ生きている。そうか、この映画で親子共演を果たしてたのか。
というか、これが息子のデビューか!?おやおや。そんな七光かい。
でも、キャリアが少ないわりには悪くなかったよね。
仲代達矢もこの頃は適度な仲代達矢ぶりだ。あんまり好きじゃないけど、このくらいなら。
加賀まりこを、吉行和子を、平幹二郎を、石坂浩二を、あんなチョイ役で使うとは贅沢な。
やはりフジテレビがオカネをかけたんだろうか……
今となってみればお得感のあるキャスティングだけど、当時は嫌味だったかも。
斎藤由貴はいい役者だったと思うんだよね。うーん、この作品ではそうでもないけど。
順調に伸びなかったのが残念だ。
吉岡秀隆が年齢にしては驚異的に上手いかもねえ。まだ18歳であの微妙な陰影。
わたしは「北の国から」を一度も見ていないので、大人になってからの彼しか知らず、
あの華のなさに関わらず主役をやったりしているのが疑問だったのだが、
18歳でこのくらいの演技をしているのなら、それはたしかに演技派というくくりになるわ。
なるほどなるほど。納得。……まあ華のないことは変わらないけど。
原作を忘れかけているので、あまりそっちをひきあいに出すべきでもないと思うが、
原作も和具さんパートの比重が重すぎたのが不満だったんだよなー。
映画はその点、原作をうまく刈り込んだと思う。話としてはむしろ映画の方が好きだ。
それでもまだ不満だけどね。やっぱり和具さんパートがすっきりまとまっていない。
吉岡秀隆と斎藤由貴の、出会いの時の会話が不自然すぎ。
斎藤由貴は健闘しているけど、脚本的にはわりとツライ役柄だったのではないか……。
最後、走らせたいという意見を述べるところも、流れ的には少々自己中心的に感じる。
斎藤由貴の「走らせたい」→調教師の「2000を越えられない馬」→仲代の「血統か」
→緒方直人の「楽にしてやりたい」→緒方拳の遺言「ダービーで勝つまで帰ってくるな」なら、
まだ良かったのにねえ。
でもとにかく見ていて泣きましたよ。なぜか馬が出てくるだけで泣ける。
オラシオン、と呟くだけで情動に変化が起こる。前世は馬か?
それともスペインの修道士?いや、それは絶対にないな。
自然の映像がきれいだった。冒頭の夜明けの稜線、満開の桜、川面の反射……
お約束にせよ、やはりこういうきれいな映像を見せてくれるのは有難い。
あと、最後勝たせてくれてありがとう。原作は勝たせてくれないんだよ。
でも原作では次のレースもあるような含みだったかな?
映画は一世一代の晴れ姿ですよね。ラストシーンもフェイドアウトがなかなかいい。
当時見てればまた別な感想を持ったかもしれないが、今回見た「優駿 ORACION」は
概ね楽しめました。……もっとトカイファームを見たかったけど。
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