映画館で予告編を見た時、微妙に食指が動いたが、まあ見に行かなかった。
織田裕二があんまり好きじゃなかったことと、どーせ海外ロケのみが売りじゃない?とか
テレビ局の映画だしなーとか色々考えて。
今回テレビ放映で見てみたら……かなり面白かった。このくらいなら映画館で見ても良かったかな。
邦画で同程度の満足感を得られたのは、うーん、ブログをひっくり返してみると、
一年半前の「おと な り」以来じゃないですかねえ。
……もっともその間映画館で見た邦画って、多分「火天の城」「レイトン教授と永遠の歌姫」
だけだから、あんまり意味がないかもしれないけど。
(あ、ちなみにこの2作品もわたしとしては基準点以上ですよ。)
(ネタバレあり)
最初から3分の2くらいまではほぼノークレームで見ていた。わりと引き込まれていた。
これってかなり珍しいことじゃないかねえ。文句つけ魔のわたしにしては。
でも……悪いことを先に言うと、話がクライマックスでガタンと落ちる。
ミネルヴァの中央官制センター乗っ取り。あそこが最大にいかん。見るのを止めようかと思った。
あれはストーリー的にどうにかならなかっただろうか。
「ねーだろ」と画面に突っ込む。
いくら警察で連れて来た関係者だからって、セキュリティ会社が部外者をそうほいほい
心臓部には入れませんわねえ。そもそも画面が改変されているかどうかの確認なんて、
単に2画面の見比べの問題なんだから、関係者が見る必要もないじゃないですか。
それをわざわざ中央管制センターで確認?有り得ない。
翻って考えてみれば、天海祐希がちょうど間に合うタイミングでミネルヴァの管制センターに
到達出来る可能性は万分の一ですよ。佐藤浩市、こんな不確実な計画を組んでいちゃダメだろう。
だいたい織田裕二が事件に絡んで来たのは全くの偶然でしょうが。
奴がいたからミネルヴァまであっさり到達出来たのであって、
そうでなければミネルヴァ絡みであることに辿りつくまでずっと時間がかかるぞ。
そもそも天海祐希がイタリア語全然話せないのに、イタリア語で電話をしてどうする。
その時点で後の流れの不確実性が高すぎるだろう。
お話だから、まあ無視してあげるけど、
1.佐藤浩市の知り合いのシングルマザーの看護婦が
2.手術代も稼がにゃならん時に
3.娘を連れてイタリア旅行し
4.その娘をうまく誘拐する
という計画自体がモノスゴイですけどね。
せめて天海祐希を女医くらいの設定にしたらどうだったのか。少なくとも身代金と旅行資金と
泊まっているホテルの高さ、着ている服の高級感の問題は解消できたかもしれない。
というか、天海祐希が看護婦さんをしているところが想像出来ない。
あ、でもほんとに「ねーだろ」と呟いたのは、織田裕二が警部を人質に取るところだな。
自分がその場所の混乱を一時的に脱出するために、そういうハデな行動を取るのは、
う~~~~んう~~~~~ん、……まあ映画ですから、かろうじて容認出来ても、
なぜ天海祐希を解放させる?むしろ警察に捕まっていた方が彼女本人の身は安全だし、
織田裕二だって彼女を連れて逃げるのは足手まといじゃないか。
ここまでハデな行動を取るなら、実は先の副将軍でした、くらいの印篭がないと無理ですよ。
まあ奴もタダの外交官ではないだろうが。でも印篭はなさそうだし。
絶対間違っているのは、外務大臣の告白を「邦人が一人、犠牲になりました……」という
台詞にしたこと。それを言わせるだけなら、他の仲間たちの立場はどうなる?
49人のボランティアが、ってことを最低限誰かが言わないとさ。
(外務大臣は言えないだろうが)
だいたい、佐藤浩市と他の3人との関係を全く描いていない点で、ワケワカリマセンよ。
そして事態の収拾は、何だかっていう外人のおねーちゃんだし。
あれでいいわけ?あれで復讐になるのか?ならねーだろう。
せめて決断は佐藤浩市がしないとさー。
天海祐希もあそこまでしたら、ラストでへろへろ笑っているだけでは済みませんわな。
絶対なんかの罪に問われるでしょ。銃刀法違反、強要罪……まあよく知らんけれども。
織田裕二だって結果オーライってわけにはいかんし。いくら外交官特権とかいっても
程度問題ですからねえ。あそこまでされて、警部が織田裕二に友情を感じるわけがないのだ。
原作で、真保なにがしはこの辺りをどうやって乗り越えているんだろう……
ま、活字の方が何かと誤魔化しやすいとは思うけどね。画ではなかなか説明出来ないことも、
活字なら上手く細々理由づけ出来る場合があるので。
では話題を良い方に。
……これ、織田裕二と天海祐希の関係性がワタシのツボ……。
忸怩たるものを感じつつ告白するのだが、フォローも出来つつリーダーシップを取る男性と、
毅然と立つ女性という組み合わせが好きなようです。
ま、今回はフォローというよりは織田裕二独立先行部分が多いし、
天海祐希の役柄自体はあまり毅然とはしとらんが。(でも彼女だからこそ、べたべたはしていない)
恋仲にさせなかったことも良かった。こんな話で恋に落ちてハッピーエンドにしたら、
どうしようもないところだった。……ありますからね「ダ・ヴィンチ・コード」の原作とか。
「どーしてこれでくっつくか!!」と激怒させる話が。
でもむしろ、吊り橋理論からすればここでは恋仲になる方が人間心理的に自然かもしれないけど。
キャストも良かった。主役3人はちゃんと芝居が出来る役者を持ってきたし。
大塚寧々と佐野史郎が特に贅沢。大塚寧々はむしろ勿体ない。
伊藤高史はなぜいるのか、よくわからない役柄だった……
そして何より、この映画はイタリアの風景で3割増し。
制作側の狙い通り、すっかり海外ロケ部分に幻惑されているわけだが……
ここは気持ちよくだまされてしまったなー。
ま、観光地ばかり写すのも、ストーリー上(一応)必然性があったわけだし。
ただ、アマルフィという映画タイトルにして、アマルフィはあれだけ?
あれは足りなかろう。まあ「ローマ」では映画のタイトルにはならんけどね……
さらに音楽が勝因。タイム・トゥ・セイ・グッバイをどどんと押し出し――
サスペンスとオペラアリア風のゴージャスな曲を上手くくっつけた。
だが。
ロ - マ で 行 わ れ た G 8 の レ セ プ シ ョ ン で、
サ ラ ・ ブ ラ イ ト マ ン が 歌 う か 。
なんでわざわざ他国人に最大の華を譲らなければならない?
カンターレ!の国ですよ。意地でも他国人になんか歌わせませんよ。他に人材がないじゃなし。
金かけとんなあ、とは思ったけどさ。でもここは話的には全くのマイナスだった。
しまった、また話題がマイナスの方へ振れてしまった。
監督が「容疑者Xの献身」の監督ねえ……
まあアレよりは見ててはるかに面白かったが。もう少し細部に気を配るべきではないのか。
この夏公開の「アンダルシア」も同じ人が撮るのかねえ。そうだったら不安だ。
しかしとりあえず13日から始まる連続ドラマは見てみようかー、という気分でいる。
……多分ダメダメだと思うけど。だって単に夏の映画の宣伝ドラマでしょ?
これでドラマの出来が良かったらむしろ驚異ですよ。
柴咲コウも「ガリレオ」の役柄に丸被りじゃないかと心配でしょうがない。
丸被りと言えば、「コントロール」なんかそのまんま「ガリレオ」ではないのか……
いや、これも実は見るつもりでいるんだけど。とりあえず録画はした。
あ、これはフジテレビ50周年記念映画か。ついこないだ「優駿 ORACION」をテレビで見た。
あれが30周年記念か。奇遇ですな。
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