読み始めて、内容とは関係ないところで驚いた。
新潮文庫、いつの間にこんなに活字をでかくしたんだ、と。
新潮文庫と言えば岩波の次くらいに活字が小さいイメージがあったのに。
わたしは大きめの活字が好きなので嬉しい。……もっとも、新潮文庫のラインナップには
それほど惹かれないんだけどね。惹かれるのは中公、ちくま、講談社学術♪
本題。
すごく読みやすかった。前述の、活字が大きいことも理由の一つだが、内容自体もさくさくですね。
会話がとても多いし、しかもその会話の情報量も多くないし。
翻訳物のゴツゴツ感もない。こなれた訳ってことで訳者もテガラだろうか。
だかしかし、この話は一体何を読みとるべきなのかねえ。
読解力がないわたしにはさっぱりわからないよ。1冊だけ読んだ片岡義男を思い出した。
雰囲気を味わえばいいのだろうか。気だるく熱い、夏の夕暮れのパンプロ―ナの雰囲気を?
登場人物はそれなりに出てくるけど、彼らの関わりも、なんというか、根っこのところでは
大して言うほどのもんでもない気がするし。
ヘミングウェイとしては闘牛の話も書きたかったんだろうなー、とは思うが、
これを書くんだ!とまでの執着はなさそうだし……。やはりスタイルの新しさを見るべきなのか。
エトランジェ。宙に浮いた存在。そんな自分を見つめるヘミングウェイ?
新潮社
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今回はジャリジャリ感を感じなかった。
でも舞台がパリなだけに(外へ出て行くアメリカ人が書いたものだけに)
アメリカ文学のデータとしては特殊かもしれない。
あ、そう言えば最近こんな本を読んだのだった。
講談社
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柴田元幸は目下活躍中の翻訳者。一部では本の目利きとしての評価も高いらしい。
……でもこの人のエッセイはどっちかというと脱力系というか、
「自分はそんなに沢山本を読んだわけでもないし……」ぼそぼそ、という自己卑下系なので、
こっちも「そうか、じゃあそんなに大したことは言ってないな」うかうかと読む。
そのせいであんまり内容を覚えていないのだが(^_^;)、けっこういい本でした。
いや、どこがいい本かと言われると困るんだけどね。
何しろ取り上げられている作品をほんのいくつかしか読んでないわけだし。
ただ、これをガイドにしてアメリカ文学を読んでいくのは手だなーとは思った。
同じ人が書いた「愛の見切り発車」と共に、アメリカ文学のガイドになり得る本。
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