怖い話らしい、という情報はあった。コワイの苦手だが読めるだろうか。
でもインタビューで語られていく話ということも聞いていたので、
少なくともグロテスク系の話ではないだろうと。ちょっとドキドキ。
読み終わって。
……そうか、こういう怖さか……。
今まであんまり読んだことのなかった怖さ。具体的?にどういう怖さかというと、
――こういうことを書く恩田陸が怖い。
――恩田陸にこういうことを書かせる現代社会が怖い。
そういう怖さ。
この小説の真骨頂は前半部にある。
怖いのもほぼ前半部のみだし。奇妙。奇怪。異風。うっすらとした不気味さ。
小説を読んで、我が身にまとまりつく不気味さを感じるなんてことは、
わたしの場合はめったにないのだが。読後残るな、けっこう。
後半は話の輪郭がはっきりしてきて、むしろ迫力は半減する。
前半部の作りで最後まで行っていたらもしかして世間の評価はもっと高かったかもなあ。
実験的なわりにストーリーテリングに成功しているし。
でもわたしは、後半である程度答えが与えられて安心したよ。
前半のまま放り出されたら、読み終わって落ち込んだかもしれない。
後味が悪いというのともちょっと違うが……前半部のみの話だと読み手に救いがないしね。
(だからといって後半部すっきりするかというと、しないのだが)
それから、インタビュアーの姿がかなりあやふやなのも怖い要素の一つだな。
読む前は、最初から最後までインタビュアーは同一人物だと思っていたのだが、
実は章によって変わる。
これがまた読んでいて足元をすくわれる。時々ぎょっとさせられる。
まあ何だか変な人だよ、恩田陸。
小説書きとして変さは必要。なので期待出来る作家だ。
変さが足りないと、上手いけどそれだけ、って作家になってしまうからね。
(個人的な認定では東○○吾とか。)
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