前作「ボーナス・トラック」もブログに書いたはずだが……と思って検索してもなかなか出てこない。
gooブログは検索機能がおかしい。記事タイトルが検索対象じゃないってヒドくないか。
何回かトライして、ようやく見つけた。
「ボーナス・トラック」は日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
ものすごーーーーく素直な(いい意味でも悪い意味でも)作品で、その嫌味のなさが
強く印象に残っている。普通は突出したところが印象に残るわけだが、
この作品はその無色透明性が印象的だった。珍しい存在。
でも歴代のファンタジーノベル大賞・優秀賞受賞作を全部読んでいくなかで、
「別な作品も読んでみたい」と思った数少ない作家なんだから――※
ちなみに別な作品も読んでみようかと思ったのは、他に森見登美彦と山之口洋。
受賞者の中では、佐藤亜紀と池上永一は追っかけている作家だが、
彼らの場合は出会った後で受賞者だと知ったような気がする。沢村凛も何冊か読んだな。
宇月原晴明も追っかけてると言えるか。彼はどっちだったかな……。
閑話休題。※――やっぱり魅力を感じたんだろうな。
そして本作。これもやっぱりその無色透明性が魅力なのであった。
正直。小説としては笑っちゃうくらいに類型的でねえ。
ひねりも何にもない!!
(幽霊部員の先輩たちが麻薬所持で退学になったアオリを受けて)廃部にされそうになった
高校の軽音楽部のたった一人の気弱な部員が、一人ずつバンドの仲間を見つけ、
みんなで作り上げる音楽の楽しさに気付き、様々な困難にぶつかりながら、
文化祭で大成功を収め、部の存続を勝ちとる青春小説。当然恋愛付き。
――要約が苦手なわたしでも要約が出来る、ほんとシンプルな話なんだから。
話の骨格がシンプルでも、通常はもう少しひねりをきかせそうなもんだけどなー。
実際に笑っちゃったのは、最後の試練が「文化祭直前のメインプレイヤーの交通事故」!!
ギター弾きが腕を骨折した為に演奏できない!彼が一番上手いのに!どうしよう!みたいな。
残りページ数的に、もう一波乱必要だろうとは思っていたけど、
こんなお約束な“試練”てさー。
まあ、でもいいんだ。そこが持ち味だろう、この人の。
一服の清涼剤として。昔なつかしいラムネみたいな存在かな。
「ラムネなんてただの砂糖水じゃん!!」という意見を持つ人には縁がない作品。
ま、この作品に価値を認められない人の気持ちもわかる気はするけどねー。
繰り返すが、……あまりにもひねりがなさすぎる。
こんな風に書いているが、わたしは好きだよ、この人。
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