多作人気作家には偏見を持ちまくるわたしが、ただ一人一目置くのが宮部みゆき。
まあそりゃ、彼女の作品が全て傑作なんてこたぁない。
最初に読んだ「R.P.G」なんて全然面白くなかったし、
「蒲生邸~」も悪くはないけど好きではなかったし、
「霊験お初」とか「マサ」シリーズは、まあいいとこ並の面白さ。
が、「ぼんくら」とその続編の「日暮らし」。これは本当に面白いです。
「日暮らし」は出た当時に図書館で順番待ちをしてまで読んだ。
なぜ今更それをブログに書こうとしているかというと、珍しいことに再読したからです。
わたしは滅多に再読をする人間ではない。再読こそが読書人生のヨロコビではないかと
日々疑問を感じつつ、しかし課題図書リストが1000冊をとっくに超えている状況を考えると、
我が身に鞭打つように未読本に手を出さざるを得ない。
それなのに何故再読をしたか。――と勿体ぶるまででもなく、理由はシンプル。
買ったんですよ。他人に貸そうと思って。で、すでに内容をほぼ忘れているので読み返した、と。
すみません、こんなことはどうでもいいですね。
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ああ、ほんとに面白いねえ。
満足して溜息までついちゃうよ。旨みたっぷりの面白さ。
正直、骨であるところのストーリーはちっとばかり弱い。盛り上げ方が巧いだけに、
結末は、あるいは肩すかし。
まあでも肉部分がこんなに美味しいのなら、骨の物足りなさなんてどうでもいい!
……とまで惚れこんでいる。
この作品の登場人物は(宮部みゆきの作品は総じてそうだけれども)みんな魅力的。
この登場人物を使って、がんがんシリーズ物を書いて欲しいぞ!!
短編だったらけっこう何でも書けそうだけどなあ。人数もそれなりに揃っているし。
短編の主役になりうるキャラクターには事欠かない。事欠かないどころではなく、
おでこと弓之助の日常なんて、お願いしても書いて欲しいところだ。
(ただ彼らが13歳という設定には無理があると思う。11歳くらいだろうなあ……。)
でも、宮部みゆきはおいそれとは書かないだろうな。
多分彼女にとってもこのキャラクターたちは“とっておき”なんだろう。
大事にしてるんだろう。だから適当に話を作りたくはない。彼らにふさわしい話が出来るまで、
そっとしておくつもりなんだろう。
――だが多作の宮部みゆきのこと、他の小説をひたすらひたすらひたすら書いているうちに、
「日暮らし」の次を書かずに作家人生が終わってしまった、とはならないように頼みますよ!
絶対2作で終わるにはもったいないキャラクターなんだから!
結局これが言いたかったのだ。5年前に出てるんだから次作が出るなら出てもいい頃なんだが。
楽しみにしている。
楽しみにしていると言えば、有栖川有栖の「女王国の城」も早く文庫になっておくれ。
文庫になったら買って読もうと、借りて読まずにひたすら待っているんだから。
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