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◇ 高島俊男「本が好き、悪口言うのはもっと好き」

読んだ。

本が好き、悪口言うのはもっと好き (文春文庫)
高島 俊男 文藝春秋 売り上げランキング: 146449

うーむ。これって……知識レベルを10段階(または20か30)くらい上げて、
性格のひねくれ具合を3段階くらいあげれば、わたしじゃないか。

というような親近感を抱いた本。

だが、冒頭の話題でもうレベルの隔たりを感じてしまった。
そもそもこの本は、なんだかものすごくあちこちから文章を寄せ集めて作ったような本で、
話題が色々飛ぶのだけれど。
最初の話題は漢字について。

著者のもとに知り合いの高校生が遊びに来て、三国志なんかに出ているケッシンというのは
どういう挨拶だ、と訊くところから話が始まる。
もうその時点で「う。」と思う。てか、そんなの聞いたことすらないが。
なんですか、ケッシンて。漢字では欠身と書くらしい。

いやいやそれはケンシンなんだよ、欠は本来ケンと読むんだよ……という風に
漢字の蘊蓄話が広がって行くが、その内容が、ほんとに聞いたことないことが多くて。
自分はわりあい漢字に強い方であると思っていたが、うへー、ちょっとこれは
レベルが違うんじゃない?

加えて、著者は「漢字が日本に入ってきたのが間違いだ」なんてことも言う始末。
いや、そういう主張は初めて聞いた気が。てか、あなたは中国文学者なんでしょ?
そんなことを言う立場なのか?
著者の考えとしては、まだ日本語が成熟する前に漢字が入って来たせいで、
日本独自の文字の発生が阻害された、ということらしい。
いや、でも、進んだ文明が周囲に影響を及ぼすのは止められないことですし、
弥生時代~大和時代の日本と中国の関係では、どうしようもなかったと思いますよ。
(ってなことは当然わかって言ってるんだろうが)

なんだかこの人、よくわからないなあ。
この1冊を読むに、マトモとは思えん。貧乏そうだし。何をやっている人なのか書いてないし。
まあ一応wikiでは、中国文学者、エッセイストとあるので、そういうもんだと思っておくが、
実際のところは偏屈爺兼仙人見習ってなところかね。
……しかしそういう人に親近感を覚えるワタシは、やはりヘンクツ度が高いんでしょうね。

この人の著作は以前「中国の大盗賊 – 天下を狙った男たち」を読んでいるはずなのだが、
その時はここまで掴みどころのない人という印象はなかったと思うが。
今後も何冊か読んでいく予定。

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