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◇ デイヴィッド・ロッジ「小説の技巧」

ヨンデモ本……かな?

デイヴィッド・ロッジは、「素敵な仕事」を佐藤亜紀が面白いと言っていたのでリストアップした。
読んでみたところ、読み巧者な人にとっては面白いんだろうが……というような現代文学。
なにしろジョイス・チルドレンらしいし。
普通に読んでも、つまらないというほどではないんだけどね。
念のため、もう一冊「どこまで行けるか」というのも読んでみて、まあやっぱり
わたしが読んで「面白い!」という本ではない。
デイヴィッド・ロッジはこれで最後にしようと思って読んだのが「小説の技巧」。

非常にシンプルな文学分析のエッセイ。
元々新聞に載せたものだというし、文学分析の本としてはごくごく一般向けであると思う。
ロッジは小説家ではあるけれども、長いこと大学で英文学を教えていた学者らしく、
この本も学者として書いているのでわかりやすい。信頼感がある。
わりあい面白く読んだ。

とはいえ、わたしの読書スピード(けっこう速い)、理解力(感度は良くない)では
この本は味読するまでには至らなかった。これを理解しようとするなら、
実際に読んだ速度の5分の1くらいの遅さでじっくり、何度も後戻りしながら読まなければ
無理だろう。そこまで付き合う根気はわたしにはない。
多分世の多数派の人も、わたし程度の根気しかないと思う。

が、この本はテーマとは別な読み方が出来るのがミソ。
それは、英米文学作品の紹介本として。
ロッジは文学技法を50種類並べて、それにふさわしい多くの作品を引用しているため
なかなか興味深い。そういう風に紹介されると、ちょっと読んでみようかと食指が動く。
わたしはミラン・クンデラを読む気になった。
ここらへんの本は、よっぽどヨシッ!と掛け声をかけないとなかなか読めないあたりでしょ。

本読みで、なおかつちょっとかっこつけたい人には有用な本だと思う。

小説の技巧
小説の技巧

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デイヴィッド ロッジ
白水社
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訳者である柴田元幸のあとがきもちょっと面白い。ちょっと有用。

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