女子ショートプログラム。
浅田真央は元気がないなー。わたしは悩んでいます!と顔に書いてある。
あんな顔をしていては滑れないよね。でも滑れないことがあったっていいと思うんだ。
人間なんだから。
語弊があるかもしれないけど、今回は負けるつもりで滑るくらいでいいんじゃないか。
負けを覚悟してというか。今まで驚異的な成長を続けて来たんだから、
多少の息切れは仕方ないんだ。もちろんシーズン最終戦が失意で終わるのはかなりきつい。
悪いイメージを引きずってしまうかもしれない。
でも彼女なら、その結果をプラスに変えることが出来ると思うんだよ。
来シーズンはオリンピックイヤー。今回は、珍しく若干停滞気味のシーズン
だったかもしれないが、その悔しさをバネに出来るのではないかと。
18歳に要求が高すぎかなー。でもわたしは彼女の強さを信じてるんだよね。
安藤美姫は今回は良かった。情念のカタマリのような演技だった。
いつもこれが出来ればなー……。
アメリカのレイチェル・フラットが驚異。16歳であのまとまり具合。
しかしアメリカは活躍時期が短い気がする。日本のように10年もトップグループにいることは
ほとんどなくて、せいぜい2、3年で総入れ替わりなイメージ。
層の厚さのせいではあるんだろうけど、もう少し時間をかけないと大輪の花が開花するのは
難しいんじゃないかね。
今回の金はキム・ヨナ。彼女が崩れることは想像出来ないくらいだよ。
昨日のライサチェクと同じように、もう他の人がどんな演技をしても彼女の金は動かない、
というような安定感。
まあ勝負は最後までどうなるかわからないんだけども。
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女子フリー。
今回感動を覚えたのは、サラ・マイヤーとアリーナ・レオノワ。
サラ・マイヤーは今までずいぶん見てるけど、あまりわたしの眼中にはなかった。
そんなに好きな滑りではない。今回も横目でちらちら程度で見てようと思ったのだが、
衣裳が面白い(白と茶色でチョコパイみたいで美味しそう)のと、日本人の楽曲を
フリーの曲に選んでいるのに興味を持ってちゃんと見た。
楽しそうに滑っているのがいいよなあ。滑ることが嬉しそうだった。
多分、アスリートとしての年月が長くなればなるほど、ただ滑るだけでは喜べなくなる。
喝采が、成績が欲しくなる。でも、根本にずっと喜びを感じながら滑っていければいいね。
今回、サラ・マイヤーは怪我から復帰……というより、相当無理して出場に持ってきたらしい。
それもあって感動したのかな。素敵な滑りだった。
アリーナ・レオノワは、ショートでも思っていたけれど、体力無尽蔵タイプっぽい。
ダンサブルな滑りは武田奈也を思い出した。傾向としては似ている。
見てて楽しかったなー。元気があふれてて。
ロシアはわりと息長く活躍するイメージがあるから、けっこうこれから見ることになるかもね。
安藤美姫が銅メダルなのは、実は多少意外だった。
フリーの前半は冷静に滑ってるというのか、落ち着きすぎていて盛り上がりに欠ける印象。
でも後半のストレートラインステップから一気に来ましたな。
この人も常にこれくらいの……というか、今回はとても良かったんだろうが、
滑ってみないとわからない、駄目な時にはものすごく駄目、という部分さえなくなって、
感情的になってコメントをしなければ、大変立派な日本代表なんだけれども。
しかしねえ。女子のレベルはほんとに高い。
浅田真央、今回は惨敗イメージがあるほどだが、明確に失敗したと言える部分なんて、
実はほんの少ししかないんだよ。
昔話になるが、伊藤みどりが滑ってた頃なんて、世界のトップクラスでさえ、
本番での転倒は日常茶飯事、ノーミスの演技なんて1回の大会で1人いるかどうか、
という感じだった。今はみんな完成度を上げてますよねー。
キム・ヨナは完璧。
昨シーズンの前半くらいには「キム・ヨナは人間離れした別次元の滑り」と感じていたが、
今回は人間の完璧さ。明確に野心を抱くようになったんだろう。大人になったってことかな。
野心を持つのは常にいいことばかりとは限らなくて、その野心に振り回されて消耗もするし、
邪念も増える。この段階を乗り越えられるかどうかは大きな鍵だと思うが、
今回の結果はこの答えだと思うね。キム・ヨナはまずひとやま、乗り越えた。
浅田さんもここを乗り越えてほしいね。
丁度いいことに、来シーズンはオリンピック・イヤーじゃないですか。
相手にとって不足はない舞台設定だ。今回を厄払いだと思えば、むしろ気を楽にして
目標に臨める気がする。
好調を維持するのと挑戦するのとを比較したら、1年というスパンで考えた場合、
前者の方が難しいのではないだろうか。アドバンテージだと考えた方がいい。
彼女の今回の演技を見て、やはり大したものだと思ったよ。
多分、選手生活の中で初の不調シーズン。……それでも世界の4位に入るって、一体どれだけなの。
演技が。美しかった。腕の動きが。背中のラインが。少し翼が見えた気がしていた。
大丈夫でしょう。きっと。
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エキシビ。
ベルネル♪
鬼気迫る面白さでしたな。やっぱりこういう演技をしてくれると楽しいよ。
実は、浅田真央の演技スタート時の笑顔と、インタビュー時の穏やかな表情を見て、
相当にほっとしたわたしがいる……。
彼女はとても強いんだろうけど、世論とかマスコミとか
相手にしなければならないものが多すぎるから。
安藤美姫は、エキシビとは思えないほどの力の入れよう。
情念!で押すのは、実はスタイルに合っているかもねえ。高校生の頃、こだわりなく
ぽんぽんとジャンプをしていた頃はこういう系統は想像しなかったが……
よく考えるとパトリック・チャンって18歳か。18歳の完成度じゃないよー。
まあ今回のエキシビは荒かったけどね。エキシビは荒いくらいでもいい。
うーん、年齢的に、無良くんがずっと付き合っていくのはこの人かもなあ。
ライサチェクほど手足の長い人は、腕とか上半身とかをたくさん使ってメリハリをつけた
振り付けの方がいい気がする。優雅な振り付けだと、好みの問題かもしれないが、
間延びして見えることがある。カロリーナ・コストナーなんかもね。
日本人の体型を見なれているわたしには、彼らは少々手足が長すぎるきらいがある。
今シーズンから、女子のスピンで目新しいポジショニングが増えたね。
ちょっとしたところ。腕や脚の曲げ方とか。いいと思う。
あー、シーズン終わりましたねー。でも半年後にはまた始まりますねー。
オリンピックですねー。
この半年、大変だろうけれども。みんな。がんばれ。
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