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◆ ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展。

宮城県美術館は、空調関係の大々的な修繕を行うので10ヶ月間休み。――だったのだが、
いつの間にか修繕が終わったそうで、ワタシの知らない間にリニューアルオープンしてました。
その後一発目のエキシビがこれ。

ウィーン美術館!を持って来たのは威勢がいいけど、静物画ってところがマイナーだね。
有名どころはほとんど来ていない。ベラスケスが1枚、ルーベンスが1枚。

ルーベンスは「チモーネとエフィジェニア」、ベラスケスは「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」。
静物画じゃないじゃないですか。なんか潔くない感じがするなあ。
チラシに大きく載せているのがそのマルガリータ王女だから、ますます潔くない。
有名どころを載せたかったのはわかるが。

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しかし、とにもかくにも個人的には1年2ヶ月ぶりのヨーロッパだ。
最初の一枚、アントニオ・デ・ペレダ・イ・サルガド「静物:虚栄」の前に立った時、
ああ、と心が溜息をつく。ヨーロッパだ。懐かしい匂いだ。
と言っても画家自体は知りませんけどね。名前からするとスペイン系か?
そのわりに癖のない、スタンダードな感じの絵だった。

風俗画と静物画を取り混ぜて色々。あと人物少々。
総じて地味。そのせいか人も少なくてまあまあゆっくり見られました。大事でしょ。それも。

多分地味なので、それぞれの画像は出ないと思う……
あ、でも「静物:虚栄」はあるな。小さいが。

http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/mmoa/ja/exhibition/20081007-s01-01.html

出来れば説明に、画家はどこの国の人なのか書いておいて欲しいぞ。
ハプスブルグ家あたりだとどこからでももらったり、取ってきたりしてるだろうからなあ。
なるほど、と思いながら見たいじゃないか。

すごい出会いだ、と思えるものはなかった。
ちょっと気になったのは以下のもの。

ピーテル・ヘリッツゾーン・ファン・ルストラーテン「ヴァニタス」
中央に描かれたすごく背の高いカップ?の、赤みを帯びた沈んだ金色が美しかった。

ヨーハネス・レーマンス周辺の画家「狩猟用具」
トロンプ・ルイユ(だまし絵)手法で描かれており、一見本当に、壁に狩猟用具が
かけられているように見える。遠近法が微妙に揺らいでいる気がするので、
本当に騙されはしないと思うが。でも面白い味わいの絵。
トロンプ・ルイユは建物の内装・外装としてはよく見るけど、絵として見たことは少ないかな?

ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ「蓋付き高杯のある朝食図」
美味そう。……じゃなくて、パイがまるで要塞のようにかっちりと描かれていて笑った。
どこかフェルメールの食物の光の粒々を思い出させるような絵だったと思う。

ロペス・ディ・フィオーリ
「泉の上で紋章を持つプット像のある庭園風景と花」「戦士の胸像のある庭園風景と花」
対になっている絵。26×45だから相当に小さいけれど、ごく近くで見ると、
花の部分の油絵の具がキラキラ。シールみたいで可愛い。

ヤン・シーベレヒツ「浅瀬」
農作物を荷馬車(牛だっけかな?)に山盛り乗せて、森の中の浅瀬を渡って行く農民?の絵。
人物の表情が不可解な気がして好きではないけど、木の葉や浅瀬のさざ波の細かいタッチが
気になった。農作物に当たる光の加減も。

アントニオ・プーガ「オレンジの花を持って笑う男」
謎な絵。……というのは、モデルがものすごく不細工。服装から見ても貧しそう。
一体この絵はどんな理由で描かれたのだ?
風俗画なら貧しい不細工が描かれても不思議ではないが。でも構図は完全に肖像画なんだよ。
オレンジの花から考えると、結婚記念に頼まれて描いたとかはありそうだが、
もしそうなら、新郎をこんなに不細工に描くのは解せん……。
もうちょっといい服を着せてやってもいい気がするし。
しかも男は満面の笑み。やっぱり結婚記念か?

ペーテル・パウル・ルーベンス「チモーネとエフィジェニア」
ああルーベンスだな、という絵。が、左端にいる体の前半分だけ描かれた鮮やかなオウムが
とても気になった。なんでこんな半分?非常に中途半端な位置に描かれ、
額縁で尻尾が隠れている。

ベラスケス「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」
ピンクのおべべが可愛いね、という絵。ベラスケスはあんまり好きじゃない。
「ラス・メニーナス」の謎めいたところは面白いと思うけれど。

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久々のヨーロッパは楽しかった。エキシビ自体も……うわ、1年ぶりか?
東京で屏風絵のエキシビを見て以来かもしれない……うーむ。
「見てない」と意識することがなかったという事が衝撃だ。

次はすぐ仙台市博物館でコレ。

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これは行かないとね。

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