佐藤多佳子作品は「しゃべれども しゃべれども」「神様がくれた指」に続いて3作品目。
どれも面白かった。
読んでいて思うのは、「この人は特殊な職業を書くなあ」ということ。
「しゃべれども しゃべれども」は落語家の話。元プロ野球選手も出てくる。
「神様がくれた指」何のことかと思ったら、スリの話なんですな。女装の占い師も出てくる。
「黄色い目の魚」は絵描きの話。しかもご丁寧に3人も“描く人”が出てくる。
登場人物はみんな一所懸命だ。多分、そこが人気の理由なんだろう。
もともと児童文学(なんかこの言葉キモチ悪いね)から出た人らしいけど、
大人も、きっと一所懸命な人の話を読みたいんだよ。
青春恋愛小説。うーん、こう説明すると我ながら全く食指が動かないが。
うん、本筋はまさに青春恋愛小説だと思うんだよ。が、キャラクターの魅力、
付け加えた要素の良さ、丁寧な感情の描き方によって、色々美味しい話になっている。
やっぱり肉の良さだよなあ。
前述した職業部分、このあたりも旨みだ。絵空事とはいえ、わたしの知らないスリの世界を
知ることが出来る。こういう部分がなければ読んでないかも。
まーそりゃ、高校生男女の一人称というのは時として読むのが辛かったりするが……
こういうの、まさに高校生くらいの年代で読んだら、きっとけっこうはまるんだろうなあ。
わたしが「アンの青春」にはまったように。……ちょっと違うか。
しかし、通ちゃんと似鳥ちゃんはどうなるのかね?
というより、似鳥ちゃんの過去は一体どうなっているんだ。絶対に小説1本分のエピソードを
背後に秘めている。あとがきで佐藤多佳子が続編を匂わせていたけど、このあたりを書くのかな。
似鳥ちゃんは全然書き足りないでしょう。このまま終わらせたら、読み手に対して意地悪だ。
いつかは書かなきゃね。
……が、似鳥ちゃんと木島とのことは、少々とってつけ感があったぞ。
彼らの性格・行動パターンでこうなるかいな、と思いながら読んでいた。
ちょっと力技で話を作ってしまった。まあ、一度離れないとラストシーンが不可能なんだけどさ。
「一瞬の風になれ」も読もうと思っているけど、図書館でまだ数十人待ちなので、
リストの最後尾に回すことにした。十年後にはほとぼりが冷めているだろう。
だが……「面白かった」と思い、微妙に愛しさも湧くのだが、なんか一歩おいてしまう。
この作家を「コッチ側」と思えないのはなぜなのだろう。やはり何かが違うのだろうか。
それとも単に彼女が人気作家であるゆえなのだろうか。……相変わらずココロが狭いなあ。
コメント
Unknown
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Unknown
ありがとうございます。
……「黄色い目の魚」についての記事はマシな方なのですが、
ウチは基本、多少毒なブログですので、違う客層の方にTBをするのはご迷惑ではないかと……。
こじんまりとやっております。
何かで間違って訪れる人をアリジゴクのように待つ(~o~)。
ご訪問ありがとうございました。