この間、上記タイトルの番組があった。
内容はそのまんま、「見て思わずナンダコリャ?と言いたくなる美術作品」を紹介する番組。
いや、これはアリだね。これで番組を作ろうと思いついたスタッフは正解だわ。
しかしNHK!この番組のホームページがないとはどういうことだ!!
怠慢すぎるぞ。2時間の特番を組んでおきながら、あとで作品名すら確認出来ないとは。
まさかそんなこととは思いもしなかったから、録画を消してしまったよ。
名前を覚えておきたい作品もあったのになあ。
紹介作品が21だったのは覚えているのだが……。
有名どころは金閣寺、陽明門、目黒雅叙園、待庵、伊藤若沖「樹花鳥獣図屏風」岸田劉生「野童女」。
それほど有名じゃないけど知っていたのは、生き人形、石見のこて絵。
初見で面白かったのは、日本橋の老舗百貨店にある「天女像」、新潟北方美術館の三楽亭、
副島種臣の書「帰雲飛雨」、芝増上寺の五百羅漢図、生口島耕三寺。
その他、九州国立博物館「針聞図」、根付「蜃気楼」、遊女の絵、曽我蕭白「群仙図屏風」
「稲生物怪録」稲生平太郎を主人公にした妖怪物語、じゃがいも焼き物、蟹陶器。
記憶とわずかなネット情報をあさって、何とか20までは集めたけどあと一つが思い出せないっ!
印象深いのはまず新潟北方美術館の三楽亭。いやびっくりした。
道楽で最終的に辿りつくのは普請だというのを聞く気がするんだけど、どうなんでしょうねえ。
こういうのを作る人が他にもアレコレ作っている気がしないな。
生涯これだけ、というような、つきつめたものを感じる。
柱や畳、引出まで平行四辺形に作るとは……。あ、この建物、正三角形なんです。
建築だし、名前を知っていてもいいようなもんだけど、初耳だった。
紹介していた施主の孫の人は「三角形の圧迫感を丸窓から見える景色で中和する」なんとかと
言っていたけど、果たしてそういう心理計算までして建てたものだったかどうか。
これこそ「オブジェとしての建築」でいいと思うなあ。使用感度外視で、ひたすらフォルムを
求めた建築。常々「建築は使ってナンボよ!」と主張しているわたしだが、
(わたしが嫌いのは、使いにくいオブジェ建築を他人の金で建てて、
それを何の関係もない一般人に使わせようという建築家先生の厚かましさなのであって)
本人が金を出してオブジェとしての建築を作るのなら全然問題なし。むしろ面白い。
「天女像」も良し。日本橋老舗百貨店は三越か?売り場の雰囲気は三越っぽい。
が、三越だとしたら、あのごてごて感はイメージに合わないのではないか……。
まあ、あんなもんは一度倉庫に仕舞ったら最後、二度と日の目を見る可能性はあるまい。
改めて飾るのは勇気がいる造形だ。
10年仕事、のべ10万人が携わったと聞いて絶句。金を出した店も偉いよ。
……同じ金を出すならもう少し別な使い方もあったとは思うけどね。
目黒雅叙園には行ってみたいのだが……。じっくり内部を回ってみたいのだが。
建築見学会なんかはやっているのだろうか。
これを初めて知ったのは藤森照信さん経由。
朝日新聞社 (1997/03)
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文庫本の15ページ分が目黒雅叙園。写真と文章半々くらい。
これを読んだ時はかなりのインパクトがあった。
建物に入って「何が起きても驚いてはいけない」と紹介される建築はそうないだろう。
アコガレですよ。なかなか見られないというから余計。
改築する前はもしかしたらもっと濃厚な建築だったかもしれないんだよなー。残念だ。
「ナンダコリャ」を“過剰なもの”として捉えたのは実に妥当だと思う。
が、そういう意味なら、待庵は少し違うのではないか。
これは藤森さんご推薦だから、あえて反対はしたくないけど。でも藤森さんならもっと
コレダ!という建築を知ってたと思うけどな。
待庵は「削ぎ落とし感」が過剰……という意見でまとまっていた。二畳という狭さもさることながら、
天井板も貼らずにそのまま、壁もざっくりまぜこんだ藁が見えてる。
極力「飾る」という方向から離れよう、必要最小限でいこう、という狙いはわかる。
でも他の作品がみんなプラス方向の過剰感のなか、待庵だけがマイナス方向の過剰さだから。
……ま、いいんだけどね。アソビだから、こういうのは。
でもこれを推薦する藤森さん、ちょっとかっこつけて狙いすぎではないかと。
ナンダコリャ系も、たまに取り上げても面白いかもね。
しかし構造的に、あっという間にネタがなくなりそうだ。
いや、ナンダコリャ系の作品は実はこの世にはずいぶんあるような気がするけれど。
でも「ナンダコリャ?」というためには驚きが必要なわけでしょ。
キレイ系の美術作品に驚きは必須ではないけれど、
こういう類のものは、やはり見慣れてしまい驚けなくなるのが早い気がする。
うーん。やはり潔く1回きりがベストか。いや、でも2,3回はいけるのではないか。
とりあえず次もあったら見る。
あ!思い出した!最後の一つ。とっちゃんボーヤのポスターだっ!
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