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< スウィーニー・トッド  フリート街の悪魔の理髪師 >

何とかセーフ。

何しろコワイのは全く駄目なので、見に行くのをずいぶん迷った。
まちがいなくグロだろうし……。どの程度なのだろう。わたしが見るのは無謀だろうか。
しかし予告は面白そうだしなー。デップだし。ミュージカルも好きだしねー。
……とりあえず行ってみようか。

実は一番ツラかったのはオープニングでした。あれはグロいというか、気持ち悪い。
この時点でいやな予感ひしひし。全編このレベルだったら、この2時間は苦行だ。

が、本編が始まると、話は普通。(パイ屋のシーンを除いては。)
3分の1ほど過ぎたあたりで、想像していたよりもちゃんとストーリーのある作品でちょっと安心。
ナンセンス・スプラッタか?とも思っていたので。
ミュージカル仕立てであることも救いであった。それでだいぶソフトになりますな。
ま、あとはアブナイところは目をつぶるという方向で自衛。それでノー・プロブレム。
……目をつぶっていても、音もエグいんだけどね、相当に。

いや、みなさん声がいい。
デップは何でも出来るイメージがあるし、他の俳優にしてもミュージカルの一つや二つ、
とっくにやってそうな気がしていたけど、みなさん歌うのは初めてなんですね。びっくり。
大したもんだー。曲自体そんなに簡単じゃない。それにけっこうな振り付きで……
ダンスナンバーじゃない分、むしろ難しいのではないか。踊るための曲なら、
もう少し大雑把な感じになるだろうけど、内面をナイーブに表白しながら動きも必要な曲だし。

でも、パンフレットに「トッドの妻役以外はプロのシンガーは一人もいない」と書いてあったけど、
船乗りやトビー、娘のジョアナはミュージカル俳優かなんかでしょ?
船乗り(ジェイミー・キャンベル・バウアー)の甘い声はどう考えてもミュージカル的だが。
トビーは「レ・ミゼラブル」のガヴロシュが育ったイメージだったな。
彼らが歌に素人であるとはとても思えません。

何曲かある二重唱が聴きどころだった。
とりわけデップとリックマンの二重唱は実に満足して聴けた。……コワいシーンだったので、
画面を見られなかったのが残念だが。

これ、ミュージカル映画としてなかなかいいのは間違いないけど、でも実はやっぱり舞台の方が
面白いんだと思う。多分舞台の方がリアルさを必要としない分、残酷シーンも明るく、
スコンと突き抜けて出来るだろうし、笑いどころももっとはっきり笑えると思うんだ。
映画はせいぜい「ふふん」程度のブラックな笑いだし。
曲が良かった。サントラ欲しいなーと一瞬思ったんだけど、聞いて映画のシーンを
何度も再生するのはちょっとつらい気がしたので買えず。臆病者。

ラストの収束は、なるほど、こう来たか。と納得。
いや、アレがアレというのは全く気付いていなかった。顔を見てもわからなくて、
台詞を聞いて、ようやく「ああ!」。
ラヴェット夫人のあのシーンは、別な意味で相当にエグい。
デップが「my love」まで言った時点で、思いっきり予想は出来るわけだが。

ラストのラスト、ああいう非現実的なまでの流血もありだろうけど、
あっさりと美しく仕上げるのもありじゃなかったかな。……だめか。バートンだもんね。
彼はどう叩いてもこってり系。趣味良くあっさりという方向には未来永劫いかないだろう。

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