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◆ 千住博「大イチョウ」

本屋に行ったら、とある絵が目に入り、速攻で購入してしまいました。
千住博の「大イチョウ」。
まあ、絵というのは大嘘で、実はクリアファイル210円也、なんだけどさ。

濃紺一色の地に金色の堂々たる大イチョウ。
いや、これはいいと思った。大イチョウの凛と立つ姿。翁を感じさせるような存在感。抱擁感。
クリアファイルながらも、なかなかに印象が鮮やかで……以前「同じモチーフばっかり描いて」と
文句を言った千住博に、ちょっと「ごめん」と言いたくなる絵だった。
(いや、同じモチーフはやっぱりいい加減にして欲しいけれども)

が、実はクリアファイルだからこそ良かったのかと思う部分もある。
実物はもっと色がきれいなのは間違いないが、カッティングでオリジナルよりシャープになる、
ということはあるから。わたしの感覚では、これはトリミングされていると思う。
オリジナルが実際にどのくらいの大きさかはわからないが、畳半畳ほどの大きさだとしても、
それに額とかがついてしまうと、この絵そのままでは窮屈に感じられるかもしれない。
壁画のような大きさならまた別だけれども。
実物を見てみたいなと思った。これは慶応に寄付された絵だそうだけど、忘れなければ、
いつか行ってみようかな。

ただし、わたしとしてはタイトルが「大イチョウ」であることが何か気になる。
「大銀杏」とかの方がいいんではないか。カタカナだと軽くてどうも……

同じところに売っていたクリアファイルで奥村土牛の「吉野」も買って来た。
クリアファイル好きなのでついつい買ってしまう。あんまり使う機会もないんだけれども。
奥村土牛の方は、下手すると中学生くらいがうまく描いたような素朴な絵なんだけど、
いいよね。この辺の素朴さが味。

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日本における金色、ということをほんのちょっと考えた。
日本画の金を初めて意識したのは、平山郁夫のエキシビを見た時。
ずいぶん前のことなので、具体的に何を見たかは定かではないが、
わたしはその頃、日本画=水墨画のイメージしかなく「これも日本画なの?」と思った記憶がある。
夜のモスクがまとった、うっすらとした金がきれいでねえ。
そのせいか、平山郁夫の絵は、常に光を帯びたイメージで思い出される。

さらに最近、NHKの「美の壷」で蒔絵の回を見たばかりで……
あれを見ると、日本の金の繊細さを感じる。
”輝き”の金じゃなく。色として金を使っている気がする。
金でニュアンスを出すなんて、蒔絵の技法以外では無理なのではないか。

その繊細な金の使い方とは全く対極に、秀吉の黄金の茶室なんかがあるわけだけれども……
金屏風なんかも、べったりした金だから、ニュアンスという方向にはいかない。
ま、日本の金にもいろいろある。

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ところで先日、伊東豊雄の「新しいリアル」展を見に行った。
うーん、素人にはちょっと面白みがなかったな。
彼の今までの仕事を、写真+図面+模型で説明しているんだけど、
文字による説明が少ないので、素人は今ひとつツボがわからない気がする。
模型を見るのは面白いけど、模型でその設計の肝が読み取れるほど知識がないし……
以前の「新日曜美術館」で上手くまとまっていただけに、それと比べれば難解。

しかしなー、台中市のオペラハウスの模型で、二つのホールが壁なしの状態で
繋がって設定されているのを見て震え上がりました。
ないよね?まさかそんな馬鹿なことはないよね?
それに、あの空間の作り方で、音響的な性能はちゃんと練り上げられるのだろうか。
とっても不安……。

ちなみに、会場にはなぜか外国人の学生が団体で20人ほど。
みな女の子ばっかりで、もしかしたら高校生くらいか。南ヨーロッパの顔立ちに見えた。
男女別学のインターナショナルスクールが仙台にあるとも思えないし、
……わざわざ来たんだろうか。どこから?伊東豊雄のために?
謎。

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