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◆ せんだいメディアテークについての長い長い話。(その4)

5.アイキャッチについて(後編)。

その踊り場からさらにエスカレーターを進むと、2階に出る。
このエスカレーターに乗っている間も目を楽しませる物がある。
それは正面に徐々に現れてくる、定禅寺通りの欅の緑。ここで、建物の前面を総ガラスにしたのが活きて来る。
前面総ガラスにしたからこそ、中と外との一体性が強くなる。
いつもここで季節を感じる。天気が良ければ欅並木はますます美しい。
「もう夏だな~」なんて思いながらエスカレーターに乗っていくわけ。退屈しない。

エスカレーターで2階に着く。降り口は左右が不透明の壁になっており、視界は狭い。
3階へ向かうエスカレーターはぐるりと回る位置にあるので、
そちらへ行くために、2階のフロアをわずかな距離だが歩かなければならないことになる。
壁をゆっくりと巡る。「ゆっくりと」巡る理由は、壁が不透明なので他人の存在が知覚できず、
正面衝突の危険性があるから。

壁を巡って、ぱっと広がる2階のフロアの全景もなかなか好きだ。

基本コンセプトとして「壁を作らぬルーズな空間にしよう」というのが伊東豊雄にはあったらしく、
ここも壁はない。すかん、と広い空間。しかし間違っても大空間の迫力とかではないんだなー。
ある意味空虚ささえ感じる、ぽかんとした空間。インテリアデザインとしては、
フラワーチェアは人目を引くけど、他にそこにあるのは……それに座って雑誌に読みふける人たちの群。
全然かっこいい光景ではない。

でも何となく。だらっとしたこの雰囲気、陰気なような、のんびりしたような、ミョーな空気がいい。
美しくはないが、ほっとする。
一応この2階というのは、総合案内、受付のフロアだそうで……いわば顔のはずだが、
まったくそんなピシっとしたところはない。だらだら。まあ、それがいいのか悪いのかは人による。

2階の片隅には、何となく区切って、児童図書コーナーも設置されている。
それを見つつ……(ここの印象は作りがオープンのわりには、あまりオープンと感じない。)
あるいは、児童図書の反対側のエスカレーターの壁に貼られた数々のポスターを見つつ……
3階へのエスカレーターに乗る。

3階の図書館についてはまた別に語ることとして、帰り道。いつも2階で別の側を通ることに決めている。
フロアの反対側であるこっちの狭い通路は、フライヤーが置いてある小さなスペースがあったり、
(しかしわたしはここで足を止めたことがないな。全く無視状態。うーん、何でだろう。)
総ガラス張りの小さな研修室(ちなみに部屋の形は円形)があったりする。
研修室で生け花なんかの教室をやっている時なんかは、かなりのアイキャッチになるんだけど、
この研修室は実はあまり活用されていない。稼働率はよくない。
やはり少々小さすぎるのと、総ガラス張りの落ち着かなさか?
フロアの反対側になるので、暗い感じは多少する。

ここの部分のアイキャッチは、壁に貼られたポスターだ。
わたしはここにポスターを貼った人を尊敬する。まさにポスターを貼るに相応しい場所だ。
実に正しい使い方。空間とポスターが、どちらも活きるよ。
これらのポスターは基本的にアート関連が多い。つまりそれなりに美しいデザインが多いということ。
目を楽しませるし、情報としても貴重だ。この場所のポスターを見て、見に行ったエキシビもけっこうある。

あとは降りるだけ。例の踊り場を通って。裏側で何か面白いことをしてそうに見えた時は
足を止めてちょっとの間見物したりする。上から降りて来る時の方が、上から覗き込みやすいんですね。

残念ながらわたしはほとんど図書館利用専門なので、5階以上のアイキャッチについては
あまり言えない。エレベーターもあまり使わないしなあ。
しかしエレベーターは、素通しなので、上り下りするたびに各階の様子が見られて
目を楽しませるのは間違いのないところ。まあこれは……好きかって言われると、
あんまり感心しないかな?うーん、でも密閉型のエレベーターよりはいいかな?

以上、長々とアイキャッチの話。

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