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◇ クリスチアナ・ブランド「はなれわざ」

自信をもって言おう。クリスチアナ・ブランドは嫌いだ。

はなれわざ
はなれわざ

posted with amazlet on 06.08.23
クリスチアナ ブランド Christianna Brand 宇野 利泰
早川書房 (2003/06)
売り上げランキング: 87,130

さーっぱり面白くない。努力して6冊読んだが、これで打ち止め~。

……いや、しつこく読んでみたのは「招かれざる客たちのビュッフェ」の北村薫のあとがきに
義理立てしてのことなのだが。何を読んでも不愉快になるばっかりでねー。あかん。やっぱりこれは。

ほのぼの好きのわたしとしては、不愉快なキャラクターばっかり出て来るという時点で、
合わないんだよ。もうなんか、読むだけで「またこれか……」とげっそりしてね。
いい人がいないでしょう、作品世界に。ほんと、この人って意地悪だ。
主人公であるコックリル警部からして、どーも主人公の明確なイメージに欠けるし……
ミステリなんだかキャラ萌え小説なんだかわからないようなものもイヤだけど、
これでもか!ってどんでん返しの連続の話もイヤだなあ。あざとい。

「はなれわざ」この作品はブランド作品の中でも代表作の一つに数えられるものらしいけど、
あの結末、絶対無理ですから!まるで森博嗣みたいな机上の空論のトリック……
やれるもんならやってみ、実際。

そりゃさー、ミステリという分野に、「トリックのためのトリック」があるのはしょうがないと思うよ。
なんといってもフィクションなんだから。虚構を楽しむものなんだから。
でもそれだったら、ものすごく奇天烈な方向でお願いしたいなあ。それこそ思いもつかないような。
もしかしたらこのトリックも、作品の発表当時はかなり斬新だったのかもしれない。
でも、今は色々な小説でアレは使われているし……その中には、まあイケる、という話も
ないこともないかもしれないけど、かなり上手くやらないとね。
「はなれわざ」の関係性ではまず無理でしょうなあ。水着だし。

以前、クリスチアナ・ブランドは「悪意」か「意地悪」か、が気になったことがあったが、
結局北村薫と同じで、意地悪という方向に落ち着きそうだ。
「悪意」って言葉がそぐわないと感じられるようになった。「悪意」は方向性を持った感情で、
方向の定まらない漠然とした悪意を持つことがあるとしたら、
それは……なんというか、通り魔のような人になってしまうのではないかと。
なので、「意地悪」でいいです。まあ、作者が読者に抱く感情としては、そのくらいが適当でしょ。

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