4.細々とした疑問。(その3)
<なぜ北側を駐車場に?>
東西に細長い敷地の南側に200メートルの建物を建てて、北側を駐車場にしている。
収容台数は300台らしい。土日はそれだけでは足りずに、臨時駐車場もだいぶ埋まるが。
何にしろ、広い駐車場はありがたい。
が、この結果、当然、駐車場側は日当たりが悪くなる。そこからどういう結果になるかというと、
……雪が溶けない。
仙台は雪国というほど雪は積もらないが、それでも一冬に4,5回は数日残るような雪が降る。
ついでに言えば、宮城県図書館は仙台市の北の外れ、けっこう高い土地にある。
そうすると、仙台市中心部にまるっきり雪がなくても、図書館の駐車場に入った途端、
「うわっ、雪!」ってことが多々あるので。やっぱり嫌なもんです、運転者としては。
このせいで、除雪にもけっこう手間がかかってるんじゃないのかなー。
県は貧乏なんだから、出来るだけメンテナンス費がかからない方向でお願いしたいものだが。
<中央部分のエレベーターは>
数え切れないほど宮城県図書館を利用しているが、今回あらためて図書館内を歩いてみて、
中央部のエレベーター2基の存在にようやく気付きましたよ。
……これって……なぜ、こんなところに設置してるの?
誰が使うんだろう、これ。
だって正面玄関側から入って来た人は、まず間違いなくエスカレーターに乗るはずだ。
確実に、そういう動線になっている。
裏口から入ったマイカー利用者は、西側の、一ヶ所しかない、小さくて動きの悪い
エレベーターを使わざるを得ないはずだ。では中央部のエレベーターを使う人は誰?
職員の人か?と思ったが、事務室の位置関係なら、エレベーターよりエスカレーターの方が
使いやすいだろうなー。まあ、カートとかで荷物を運ぶことなんかはあるかもしれんが。
それにしたって、中央部のエレベーターは2基いらないよなー。
2ヶ所欲しいのは、絶対間違いなく西側のエレベーターだと思うのだが。
本日二名ほど、エレベーターのあまりの遅さに舌打してエスカレーターに向かった人を目撃した。
(自分もいれれば3名。)
全く、何でこんな作りになっているんだか。
エレベーターについては、もう一つ、今回新たな発見があった。
たとえば講義室で催し物が終わり、さて、帰るかと北側の第一駐車場に向かおうとしても。
……使えるのは西側の、狭い・遅い・1基しかないエレベーターだけなんですよね。
今まで講義室を利用したことがなかったのでわからなかったが、
これはかなりのストレスだろうなあ。講義室の広さがわからないので何とも言えないが、
写真を見ると200人くらいは入れそうな場所だ。催し物が終わって、大勢の人が、
はるか遠いエスカレーターを利用して、さらにそこからまたぐるりと回って駐車場に出るのは、
苛々するものでしょうねえ。
これだけ訳のわからない動線を作るのは、
……もしかして、利用者の忍耐心を涵養するためなのか?とわたしは半分本気で考えている。
でなかったら、納得出来ないよ。こんな動線にする必要性。
5.褒めるべきところ。
褒めるところが全くないわけではない。ほんのちょっとだけど。
建物の南に木を残して(新規に植えて?)窓の向こうは全面緑、というロケーションにしたのは
とてもいい。特に、レストランから見た景色はうっとりするほど。贅沢な気分になる。
単なる雑木林ではあるけれども、それを――それだけを見ながら食事が出来る贅沢。
そこに遊歩道を作ったのもいい。まだ歩いたことはないけど、いつか歩いてみようと思っている。
この「緑」の恩恵を受けているのは、レストランはもちろん、エントランスホール、
3階読書スペース、ラウンジ。……こう数えると少なくないかね?
褒めるべきところなんだけど、逆に「もっとこの緑を活かすことは出来なかったのか」という
疑問に繋がってしまうのは困ったもんだ。
うーん、あとは、図書の配置が分かりやすいというのも長所ではある。
(そのせいで、延々直線を歩かなければならない、という短所に直結してはいるけれど)
図書館で大事なのは機能性ですからね。特に県の図書館のような、娯楽としての読書より、
調査・研究に力を入れているところは。
あとは?見当たらないなあ。
見てくれの良さ?まあたしかにかっこいいと言えるデザインかもしれない。
でもわたしは好みじゃないんです、鉄と石で出来た建物は。
木の落ち着いた柔らかな建物であってくれたら良かったのになあ。
もう少し明るくてさ。包み込むようなあたたかさが欲しかった。
散々言って来たが、いや、やはりプロの建築家がここまでわけのわからん建物を作るとは思えないから……
県側のエライさんが、かなり口出しをしたのかな?間取りの部分なんかでシロウトに縛られたら、
そりゃ建築家としてもどうしようもありませんわ。
でも、少なくとも地震と音響部分は、クライアントがそうそう具体的に口を出すところだとは思えないし……
それを考えると、やっぱり罪は重いんじゃないでしょうかね。原広司。
以上、建築としての宮城県図書館。
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