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◆ 建築としての宮城県図書館。(その3)

3.動線

動線については……総合的に考えなきゃならないんだろうから、
シロウトの狭い視野では見えないものかもしれないけれど、でも!言いたいぞ!

なぜあんなに細長い建物にしたのか?

http://homepage1.nifty.com/richsoul/kankou/junrei/miyalib/miyalib.htm

建物全体は200メートル×30メートル。
なぜこれを100メートル×60メートルにしなかったのか、不思議で仕方ない。
長辺が200メートルの長方形より、100メートルの長方形の方が、動線は短くなると思うんだけどなー。
動線は長いより短い方が、使い勝手に結びつくんじゃないだろうか。

図書館で一番活用されるのは、間違いなく開架図書閲覧室だと思うんだけど、
だいたいこのスペースは、100メートル×15メートルくらいの空間である。
この形状だと、端から端まで遠いですよ~。日本十進分類法に従って棚が並んでいるので、
場所がわかりやすいことは間違いないが、歴史関係図書(200番台)から
小説(900番台)へ行く時の徒労感と言ったら。

徒労感を感じるのは、歩いててつまらない作りだからだろうと思う。
棚の北側と南側が通行する部分になっているが、
1.北側の通路部分は、エレベーター・貸し出しカウンターなどで各自の動線が入り乱れており、
2.さらにその中央にベンチや照明柱が置かれているので、注意を払わないと歩けないストレス。
3.歩いている時に視線を捉えるものがない。
4.南側の通路は閲覧席のすぐ隣を通るので、音を立てないよう気を使う。
5.閲覧席への視線が無作法に感じるので、見るにしろ見ないにしろ、微妙なストレス。
6.すれ違うのに幅が微妙に狭い。

アイキャッチがないって、建築の旨みがないってことじゃないかなあ。
たいしたものでなくていいんだけれどなー。たとえば天井に模様を作るとか、
棚の横に小さな展示スペースを設けるとか、壁にポスターを貼るとか。
すごく邪魔な照明柱だけれど、柱に何か面白い装飾でもなされていたら、
それで結構誤魔化されて、100メートルの距離を感じなくなるもんだと思うんだけど……
ただひたすら「あそこまで行かなきゃ」と思わせてしまうのが失敗。
たとえば窓の外を眺めながら歩けるのであれば、そもそも「遠い」という感覚すら抱かないでしょう。

わたしはどちらかといえば、図書館のヘビーユーザーの部類だと思う。
なので、時々は開架図書閲覧室の西側にある郷土資料室にも行くし、東側にある
新聞・雑誌室にも行く。……これをどちらも行くと200メートルですからね。
建物の中を200メートル歩かせて、何がしたかったんだ!

ここまで「細長い」建物には理由が要りますよ。
なぜ「細長い」を選んだのか。
ぜひそこのところを、設計者に教えて欲しいと思っている。

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