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◇ 「世界の建築・街並みガイド1 フランス/スペイン/ポルトガル」

いやー、ここでこんなことを言っても仕方ないけど、この本は勿体ないなあ。
もうちょこっとだけナントカしたら、海外旅行のガイド本として、
売上がだいぶ違っただろうに。

内容は丁度いいのだ。作りとしては、実に一般人の建築好き旅行者向け。どんぴしゃ。
コンセプトは「建築MAP東京」と同じなんだけど、
やっぱり旅行で人気があるのは、現代建築よりも観光名所である古代物件だろうし。
(そしてそれほど有名ではない現代建築もちらっちらっと出て来るのが、またニクイところ)

勿体ないと思うのは、「フランス・スペイン・ポルトガル」を一冊にしたことだ。
(それぞれの割合は5:3:2くらい。)
この三国を同時に行こうとする旅行者はあまりいないと思う。フランスはフランスで1冊、
スペイン・ポルトガルで1冊と分ければ良かったのに。

手間も時間も(そんなに)かけないやりようはあったのにな。
掲載した建築物の数はそれほど増やす必要はない。写真をもっと大きくすればいい。
1ページの紹介記事は3乃至5だが、これを最大で3に抑えれば、倍とは言わずとも
ページ数稼げるし、実際今のままだと、写真が小さくて不満を感じる。もう少し大きい写真で見たい。
欲を言えば、地域によってもう少し記事の数を増やして欲しい部分もあるけど。

1つの記事の説明文、もうちょっと言葉を噛み砕いた方が一般向けにはいいと思うが、
下手に迎合するより学者の硬い文章の方が付加価値が上がるだろう。ここはそのままでいい。
あとは企画の「テーマのある旅」の文章を、手馴れたライターにでも手直ししてもらって……
コラムの書き方は学術論文とは違うから。やはり学者は慣れてない。
それぞれを違う人が書いているんだけど、「下手やなー」と思うのもあった。

ちなみに、この企画部分は、

フランス編に7つ
・プロヴァンスのシトー会の修道院を訪ねる
・巡礼路の聖堂と装飾を訪ねる
・中世の城から城館をたどる旅
・イル・ド・フランスのゴシック大聖堂を巡る
・アール=ヌヴォーの建築を訪ねる
・ル=コルビュジェの生涯をたどる旅
・パリの個性的な美術館を訪ねる

スペイン編に3つ
・アンダルシアのイスラム建築を訪ねる
・スペインのバロック建築を訪ねる
・バルセロナにガウディの建築を訪ねる

ポルトガル編に1つ
・ポルトガルの家と街並みを訪ねる

なかなか面白そうなラインナップをそろえている。
面白く書けば、これに沿って旅をしてみようと思う人もいるでしょう?

このシリーズは、6巻完結?いや、アジアが今のとこ全く無いから、続刊かな。
しかし2~6巻も国をまとめすぎなんだなー。
2.イギリス・アイルランド・北欧4国
3.イタリア・ギリシア
4.ドイツ・オランダ・ベルギー・スイス
5.オーストリア・チェコ・ハンガリー・他
6.アメリカ・カナダ・メキシコ
……ますます旅行のガイドブックにしにくくなる方向だ。少し薄めでもいいから、
地域ごとに分けちゃえばいいのに。

と、こんなことを考えていた。ここで書いても仕方ないとは重々わかってはいるけれども(^_^;)。

世界の建築・街並みガイド〈1〉フランス・スペイン・ポルトガル
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