【とても切ない。】
(内容に触れています)
ミュージカルは好きだが、辛気くさそうな映画だ……という予想のもと、見に行ったが……
しみじみ良かった。音楽も、役者も、画もいい。魂の歌ですよねー、これはねー。
聴いてると切なくなる。
ファーストシーンから引き込まれた。
久々に合唱の力強さを感じたなー。一人一人が充分力を持った上でのコーラスだから、
1+1が2以上の力を出すんだ。ジョアンヌのソロなんて、震えがくるほど。
ひたひたと迫る死を前提に、彼らの生は明るく、激しく、儚い。花火のよう。
でも、実は花火のように一瞬では終わらなかった。ほろほろと、残るものがあった。
人の記憶と。夢を叶えようとする意志と。それが生きる力を生み出す。
だからこそ、ミミが生き返る。ラ・ボエームではミミはそのまま死んでしまうけれど、
レントのミミはこれからも生きる。現実的に考えれば、これでメデタシメデタシになるはずはないけど、
それでも、そこには希望がある。どうしても、そう書きたかったんだろう、ジョナサン・ラーソンは。
彼にとって、これは自分の物語だから。祈りを籠めて、そう書かずにはいられなかった。
貧しい暮らしを送りながら、一生にたった一つの名曲を生み出したいと願っているのは彼自身だから。
このミュージカルを書いたラーソンは、舞台プレヴューの前日に35歳で突然亡くなっている。
作者の命をそのまま受け継いだ作品、と言ったら、あまりに作り事めいているかもしれないが……
プレヴューの日、初演の役者たちは、きっと魂の力を全部使って歌い上げたことだろう。
表層的な客寄せ効果も含めて、彼の死は作品に力を与えた。
今回の映画には、初演の役者たちが6人出演しているという。
初演は10年前。10歳差があるわけで、キャスティング的には多少無理もあったらしい。
(舞台未見のわたしは気にならなかったが)
しかし監督のクリス・コロンバスは、作品がすでに血肉になっている役者に演じさせたかったのだろうと思う。
魂を感じさせる歌声。
ジョアンヌとベニーの声が好きだった。
ロジャーとマークが歌う「WHAT YOU OWN」が好きだった。
曲としては「SEASONS OF LOVE」が一番好きだし、
画では、エンジェルが歌い踊る「TODAY 4 U」と全員の「LA VIE BOHEME」がやはり楽しい。
いい映画だった。
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