PR

<プロデューサーズ>

【楽しめることは楽しめるのだが……】

笑えたし、見てて楽しいんだけど、(矛盾した言い方ながら)反面ものすごく退屈。
最初の方、ちょっと居眠りしてしまった。いや、眠かったので……

わたしはミュージカルが好きだが、ミュージカルはまず歌!という価値観なので、
アリア的な美しいメロディラインが欲しい。「歌いたくなる曲」を期待したいんですよ。
次に期待したいのは群舞の迫力。
こういう部分が皆無じゃないけど、わくわくはさせてくれなかった。
本作は良くも悪くも、古きよきミュージカルの流れを汲んだ作風。派手だけど、素朴でもある。
テンションは高いが、かなり一本調子なので飽きちゃったなあ。

もっとも、コメディとしてはまあまあだと言いたい。
個人的にはもう少しかっこをつけた笑いの方が好きだが、でもまあ。
シモネタが多いとあったから覚悟していったのだが、この程度なら気にならんし。
役者さんたちはみな達者でいらして……そういう意味での違和感は全くないですね。
むしろ達者すぎて平板に感じられた印象もある。

そういえば、わたしはこれがトニー賞を総ナメにした特番をテレビで見て、
その中で舞台の「プロデューサーズ」何シーンか見ているんですよね。
なので、前半は見覚えのあるシーンが多かった。オカマ?の演出家のシーンとか、
おばあちゃんが大勢出て来るシーンとか。退屈と感じたのはそれが裏目に出たのか。
面白いんだけどね。うん。

映画としてのアクセントの付け方が今ひとつ……と言う気もする。
実際舞台を見たわけじゃないから比較は出来ないが、ここが映画ならでは!という部分はあったのだろうか。
わりと大事だと思いますよ、そういう視点も。
「オペラ座の怪人」は舞台の忠実な映像化で、基本はその意味だけの価値しかないと思うけれど、
それでも映画ならではの良い部分があったからねえ。最初と最後あたり。

散々ぶつぶつ言いつつも、悪い映画ではない。笑いの趣味が合うのならば見て損はしない。
でも映画として、とか、ミュージカルとして、とか、期待の方向によってはちょっと外すかも。
総合的に言えば、ちょっと退屈。やっぱり見るのなら舞台でしょう、ということか。

ところで、脚本家のフランツは、宇梶剛士に激似じゃありませんでしたか?

コメント