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<プライドと偏見>

【のんびり見て、心地いい。】

わたしはイギリスもコスチューム物も好きなので、こういう作品には甘いかもしれない。
それも含めて、ごくごく普通に、物を思わず見ていられたので、特に不満はなかった。楽しめた。
名作ものはこういう風に作れば良いのだ、という意味では優等生映画じゃないだろうか。
その分、印象は……ちょっと薄いんだけれども。

まあ、そりゃ後半のストーリーはガシャガシャしちゃったかな、とは思う。
前半が多少じっくりしていたので(二回もある舞踏会シーンはちと飽きた)、
少し時間配分を後半に割いて欲しかったな。尺の問題で、カットもだいぶあったような気がする。
その辺が少し下手だったかな……という印象を受けた。

とは言っても、わたしは原作を目をつぶって読んだ程度なので、話はよく知らない。
ダーシーさんはもう少しイヤな奴のイメージだった。
マシュー・マクファディンは実に英国男っぽい。レイノルズがモデルとして描いていそうだ。

キーラ・ナイトレイが好きなので、見ているだけでけっこう楽しかった、ということもある。
少しアゴが出てるんですねー。今まで気づかなかったわ。
しかしもうちょっと太ってもいいような気がするが……。あの衣装では特に、華奢を通りこして
少々貧弱に見えた。
ジュディ・デンチも好きなので、嬉しかったなー。彼女が出て来ると得をしたような気分になる。

期待していたイギリスの風景も良かった。ただ、贅沢を言えば、せっかく英国人監督なんだから、
他の国の人が撮れない英国の美しさを見せて欲しかった気がする。風景はどこも、
たしかにきれいだったけれど、意外性がなかったから。最大公約数的美しさ。
イギリスは、もっとさりげないところに美しさがある。

あとは……お約束のハッピーエンドが心地よかった。
ダーシーさんに関しては、アンタいつエリザベスを好きになったんだい?と訊きたい気もするが、
あんまりカタイことは言わないことにする。たまにはのんびり見る。ピアノの音も気持ちよかった。

多少現代的にアクセントをつけた映像もあったけど、あのくらいの頻度なら古典物としてもアリかな。
鏡を使った部分とか、ベネット家の各部屋を外から映すところとか。
ラスト近くのキス直前シーンは、きれいに形を切り取って成功していると思った。
キスさせなかったのも、ちょっとした工夫で、いいね。そういうのがあってもいい。
ついでに言えば、ダーシーの初めてのプロポーズの時の、二人の微妙な距離感は好みだ。

まー、こういう映画を、ロケで出来るっていうのがすごいですね。
反面、ロケなだけに、微妙に切り貼り感もあった。やはり統一感に欠ける部分がある。
ロケをしたところは、けっこう有名どころだったようなので、
イギリス人がこれを見たら、ある意味でちょっと辛いかも。彼らは位置関係がわかるはずだから。
日本人にとっては、皇居から散歩の範囲に富士山があるように描かれる感じか。

難しいことを考えず、ぼうっと見てて吉。後に引くものの特にない作品。

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