【残念賞。アクションシーンだけでも満足出来る人向き。】
スターウォーズ、わたしは思い入れがない。4~6はテレビで、ながら見程度。
で、エピソード1~3は劇場で見た。1はかなり面白かった記憶がある。
ルーカスはアメリカ産の神話を作ろうとしているんだ、すごいなー、と感心した。
それは神話のない英国に神話を作ろうとしたトールキンの偉業にも匹敵する
チャレンジ精神じゃないだろうかと思った。(結果は別として)
……が、はっきり言って2と3は面白くなかったですね。
1は満を持して、という雰囲気を感じたんだけどなー。実際、時間も手間もかけたんだろう。
が、2でがっかりした。すでに記憶の彼方。何の話だったかすら覚えていない。
でも中だるみになっちゃうのはある程度しょうがない、中間の話って難しいしね。
その分期待は3に向けられていた。だってなんたって「スターウォーズ」、サーガの最終章でしょ!
結論から言えば、2並でした。何といってもストーリーがおざなり。
多分、アクションを見せたいんでしょう、監督は。それが好きな人は大満足かもしれないんだけど、
特にアクションが好きでもないわたしには、ストーリーの描き足りなさが気になってしょーがない。
薄い!薄い!話が薄すぎる!
アクションシーンにかける時間と手間を3分の1にして、ストーリーとディテイルに力点を
置いた方が名作になったんじゃないかな。優秀な脚本家を雇ってね。
ルーカスは話を作る能力に欠けると聞いたことがあるんだけど、これを見ると
脚本家がいなかったことが致命的に思えてならない。監督、自分の好きなことだけ
やってちゃあかんよ。
ストーリーの骨格はそれほど変でもないんだけど、(いや、疑問は多々あるが)
一つ一つのパーツが「納得!」という感じにならない。
例えば、冒頭の議長救出シーンで描かれる、オビ=ワンとアナキンの師弟関係も、
「こういう風な関係ですよ、と言いたいんだろうな」という意図はわかるけど、
……意図がわかるだけでは感情は動かない。で、居心地が悪くなる。
ストーリーで一番残念なのは、アミダラさまがただのお姫さまになってしまったことだなあ。
女王じゃなくなったのはこの際関係ないと思う。1で描かれた性格なら、自分で行動する
キャラクターのはずなんだ。それなのに、情報収集もせず、行動も起こさず、
アナキンの変化への疑問を究明することもなく、……それって違うだろう。
細かい疑問の数々。
●ジェダイがそんなに賢者なら、アナキンの内心を洞察することくらい容易なはずなのだが。
何でそのまま放置するか。危険なことはわかりきってるじゃないか。
●オビ=ワンが三枚目過ぎるのもイヤなんだよなー。アナキンの引き立て役。
実はオビ=ワン視点で物事を語った方が、ずっと締まったのではないかと思う。
●ジェダイも妙にあっさり倒されるシーンが多すぎるし。多少骨があったのはメイスさんだけ。
あとは秒殺の人が多かった。もっと賢くて強くないとー。
●アミダラさまと同じ部屋に泊まる関係で、秘密の関係も何もないものだと思うが……
気づかれないわけないでしょ。
●ヨーダも人生相談されてるのならもう少し親切に教えてあげたらよろしい。あれではグレますわ。
●トカゲに乗ったオビ=ワン、目立ちすぎ……
●議長がシスだと告げる時に葛藤が全然描かれてない。言おうか言うまいか、もっと悩むはず。
まるで事務連絡なんだもん。
●勝利したオビ=ワンが白々しい。致命傷を与えてから「兄弟だと思っていたのに!」
ここはもっと上手く描けるところだろ~~。
●アミダラさまの出産~死ってあっさりしすぎだろー。「もう死ぬんかい!」と思った。
●ベイダーがアミダラさまの死を知らされた時もあっさりしすぎ。
「うおおおおおお~~~~」と唸って約3秒。次に出てきたときにはもう気を取り直している。
●ベイダーが子供の存在を知らないにしたって、ラーズさんとこにルークを預けては
隠していることにならないのではないか……。少なくとも、全く無関係の人に養われた方が
可能性は減ると思うが……
アミダラさまにナタリー・ポートマンを持ってきたのはとても成功している。
1,2,3の時系列の年恰好がぴったり。それに良い女優になったので、映画が重みを増した。
あ、でも「君は美しい」という部分だけ、美しくなかったのは何かの皮肉か?
ヘイデン・クリステンセンが好きになれない。雰囲気が合っているのは認めるが……
説得力のない話で観客を説得出来るほどの演技力があったかどうか。
ユアン・マクレガーが可愛すぎる。もっとひねくれた性格を付与した方が厚みが出たと思う。
それでもってとりあえず、この映画の白眉は。
R2D2とヨーダの可愛さだっ!!もー、最初のR2なんて可愛くて可愛くて……
敵から身を隠すところとか。出て来るところみんな可愛い。
わたしは前々から「実はR2D2がこの銀河世界の中心存在、神なのだ!」という結末を
想定していたので、そういうシーンのないまま終わってしまうのは非常に残念だったが。
それにしても、なんでみんなは遠慮会釈なく敵陣で大声でR2D2を呼ぶんでしょうね?
見つかっちゃうじゃないか。もっと根本的には、相手がロボットなのに、どうして
音声認識なんでしょうね?少なくともバージョン切り替えで、電子的にメッセージを
処理するくらいのことは出来て当然だと思うのだが……
ヨーダはかっこ良かった。あの苦悩と決意の表情は、主演男優だね。
思わず画面に向かって「よっ、音羽屋!」とか声をかけたくなっちまったい。
あ、それからグリーバス将軍のキャラクターがユニーク。猫背で病弱なサイボーグって。
もう少しがんばって欲しかったのは、あとは音楽だなあ。
今ひとつ使い方が上手くない。ジェダイが一人一人倒れて行くところは悪くなかったけど。
ディテイル部分も、メカ好きは満足なのかな、あれ。リアリティがないこともないが。
デザインがコキタナイ。もう少しスマートさが欲しかった。
衣装も1ほど力が入っていないような気がするし、各惑星のデザインももう少しきれいに
見せて欲しかった。あ、ウーキーたちの桂林は良かったけれど。
だいぶ前の席で見たので、最初の宇宙戦にはやたらと臨場感があってウゾウゾした。
楽しかった。……酔ったけど。
だからこういうところばっかに力いれとらんで、もっと話し部分に工夫をしろと!!
残念賞。これで終わってしまうのは、SWファンには気の毒かもしれない。
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