【ヒマな時に見る映画としてはまあまあ。】
いくつかの偶然が重なって見ることにした。
1.「イン・ザ・プール」の続編である「空中ブランコ」をついこの間読んだこと。
2.「空中ブランコ」がドラマになっていたので、キャスティングを比べてみようと思った。
3.次に「亀は意外と早く泳ぐ」を見ようかどうしようか迷ってて、そっちのSP映像が
上映されるというふれこみ。
どれかが欠けてたら見なかったと思う。
感想。面白いは面白いが……という感じ。
やっぱり原作付きはどうも見方が偏りますねー。わたしは「空中ブランコ」を
「すごく面白い!」とは思わなかったんだけど、やっぱり違いが気になる。
ま、この話は設定が面白いので、設定をいただきたくなる気持ちはよーくわかる。
どこまでもイジれる話だ。で、イジった結果、元の話とはかなり離れた(のだろう、多分)。
原作付きの映画で必ず言われる「原作とは別物」ということは頭ではわかっているんですが。
原作の良いところが全然なくなってたように思うからなー。
ものすごく淡々としたところが面白さとある種の上品さ(とまでは言えないけど)を
出していたような気がするんだけど、映画ではそういう部分がシツコイ系になっている。
そこが気になる。うーん、自分の中で切り替えが出来なかった。
良かったところ。
診察室のインテリア。看護婦さんのキャスティング。松尾スズキの台詞回し。
ピザとミネラルウォーターに囲まれた部屋。オダギリジョーの演技。
別れた妻の、すっごい遠くの側転での退場。
一押しは編集長。女の子との掛け合いも良かったし、編集長さん単体でも良かった。
ちょっと室井滋に似てますよね?終盤の松尾スズキとの掛け合いでの「間」が最高だった。
嫌いだったところ。
オダギリジョーの部屋。生理的に受け付けなかった。田辺誠一。この人の演技を見たのは
二回目だけど、……ひょっとしてこの人「田辺誠一」しか出来ない役者?
田辺誠一パートは全般的に今ひとつだと感じた。
看護婦さんはもう少し露出が必要だったのではないか。
本来なら、伊良部先生の要諦である「他人に安心感を与える」があるべきなのに、
松尾スズキではそれがないのがちょっと。
が、原作を気にせずに見れば、「ちょっと変系」の映画としては良い方だと思う。
あまり辺縁部を走りすぎていないというか。
忙しい時に、わざわざ時間を作ってまで見る作品でもないと思うけれど、
ちょっと何か見たいな、という軽い気持ちで見るなら丁度かも。
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ついでにドラマ「空中ブランコ」。(しかし野球中継延長のためラスト30分視聴出来ず)
伊良部先生のキャスティングがなー。阿部寛じゃやっぱりちょっと。
やっぱりTRICKとかぶっているよー。で、話が普通になってしまっている。
テレビドラマだから、あまり不条理を保つことも出来ないんだろうけど、あれじゃつまらんよ。
伊良部先生が実はいい人、とか実は名医、とかが本当に曖昧模糊としているところが
いいのではないのか!
釈由美子の看護婦さん、外見はいいし、演技も努力してたと思うけど、致命的な欠点が。
声と喋り方が可愛すぎる。もっとドスのきいた声でやって欲しいところ。
こちらももっと露出を……。まあガーターベルトがあっただけ映画よりはいいか。
(……ってまるでヘンタイですかね、自分)
映画もそうだけど、三つくらいの短編をけっこう上手く絡ませている感じはした。
原作読んだ時に最も気になったのはこの「ワンパターン感」なので。
まぜこぜにして一つの話にくくってしまうことでそれはなくなった。
でも残念なのは、内田?君の扱いだな。あの話でわたしが一番好きなのは、
大団円近くで彼が言う「コウヘイさんトップですし……自分に悪いところがあるんじゃないかと
ずいぶん悩みました」(うろおぼえ)という部分なので。最初から反抗を露にしていては
たとえ同じ台詞があったとしても全然活きない。
そして伊良部先生の行動が普通過ぎ!あんな類型的な恋なんかしないでしょう、伊良部先生は。
キャッチボールもしょぼいなー。百歩譲って、馬を射るという目的なら、そうだなー、
サーカスを借り切るくらいのことはするでしょう。
破壊力が足りない、全体的に。
こっちも結局、原作と比べてしまうことで素直に楽しめなかった。
うーん、わざわざ原作を読むまで見るのを我慢していたのに、逆効果だったかな?
今度から原作付きは映像作品を優先させることにしよう。
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蛇足だが、「亀は意外と~」は見る気がしなくなった。
SP映像付き(しかも映画の前と後に)とまで言って、あんなもんでは。
普通の予告編の方がずっと良かったと思う。予告を見て見たくなる映画ってのは多いが、
予告で意欲が殺がれる映画は久しぶりだなあ。わざわざ変な宣伝をしたがゆえに、
少なくとも一人、観客を逃した。それとも「何かちょっとおもしろそー」程度の、
一般の客をふるい落とすための宣伝だったのか?
しかし、今回見に行って、予告で並んだのがみんな似た系列の映画に見えてうんざり。
「亀は意外と~」「サマータイムマシン何とか」「タナカヒロシのすべて」
これに「イン・ザ・プール」と「逆境ナイン」を付け加えれば、
オバカでちょいシュール、最後ほのぼの。……メジャー系は「キレイでカンドー、癒し系」で攻め、
単館系は一斉にこっちに走るとは。もう少し何とかならんかね。
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