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<バットマン・ビギンズ>

【見ごたえたっぷり感。】

バットマンに思い入れが無く、ディテイル好きのわたしとしては前半が面白かった。
舞台設定を細かく説明していくような内容だから。スピード感のあるストーリー展開が
好きな人には少々うざったいかもしれない。

わたしはバットマンは1しか見たことがなくて、その時は
「えらいもん見ちゃった……」という感想(つまり全然合わなかった)しかなかった。
今回、渡辺謙が出ていて、しかもチケットが余っていたから多少無理して見たので、
そういうのが面白いと得した気分になりますね。

とはいえ渡辺謙はもう少し重要な役回りであって欲しかったけど。日本人としてのオネガイ。
いや、でもあの役であれほど説得力のある雰囲気が出せる人がそういない。
演技力のある役者で、しかもチョイ役で使える(程度の知名度しかない)役者を得た
この映画ののキャスティング担当者はラッキーだった。
謙さんには今後、「まさかこの人をこんな役で使うわけにはいかない……」と言われるくらいの
地位まで辿りつけるよう、努力して頂きましょう。

とにかくキャスティングがよろしかった!!
主役のクリスチャン・ベール。文明社会に復帰してからの彼は好みですねーっ。
(すまん、演技力とかは見ていない……)
スーツ&笑顔の甘い雰囲気と、バットマンコスチュームのキッチュさがミスマッチでヨイ。
またカラダがすごいわ。腕の太いこと太いこと……ちょっと怖いくらい。
54キロ→100キロを約半年で作るなんて人間じゃないなあ……
トム・クルーズに似てると思った。でもクルーズよりずっと好き。

リーアム・ニーソン。この人は悪役をやっても憎まれ役にはならないのですな。
だが今回の役どころはクワイ=ガン・ジンとかぶる。おりしもエピソード3公開直前。
この役に関しては脚本(原作?)もうまくやったな、という感じ。
バットマンがヒーローであるのにもかかわらずあれだけ暗黒的な雰囲気をかもし出していること、
その敵が悪役なりの論理を持っていること、そして腐敗した社会と一般人。
この三者(四者?)の関わりあいをうまく処理した。ヒーロー物ってごくごくシンプルな
対立関係というイメージがあるけど、皆それぞれ善悪を持っているというところがなかなか。

紅一点のケイティ・ホームズ、雰囲気良かったですね。
あえて難を言えば、巨大な悪に立ち向かって行くには中途半端な位置にいたかなあということ。
ああいう社会で検事補なんてとても権力を持った存在とはいえないだろうし、
あっさり殺されて終り、という立場だろう。もう少し設定上、力が欲しかったところ。

ゲイリー・オールドマン……。
この人はシリウス・ブラックと素顔と今回のゴードンさんしか知らないんだけれど、
全員別人ですよ!化けるよなーっ。特殊メイクばりばりのブラックは別としても、
素顔とゴードンが同一人物に見えないってどういうことだろう?やはり演技力かー。

キリアン・マーフィー。「真珠の耳飾りの少女」でごく真っ当な役をやっていたので、
こういう現代ものが意外。しかもかなりはまっている。

そしてわたしのお気に入りはこの執事だ!!マイケル・ケイン。
いいですねー、この役柄。正統派ブリティッシュ、という感じなのに、あのしっちゃかめっちゃかな
シチュエーションにも顔色一つ変えず、観客が言いたいツッコミを代弁するところなんか最高!
その上、人情部分も申し分なし!扇の要ですな。
唯一、モーガン・フリーマンは、人はいいんだけど技術畠の人に見えなかったのがマイナス。

脚本も良かったと思う。
荒唐無稽(なのであろう)な設定にそれなりの理由を与えているだけでも相当な手腕だ。
こういう作りだったら次の作品も見てみようかなと思う。ビギンズだから続くし。
キャストをなるべく変えないで作って欲しい。
正直に言って、わたしはアクションはそれほど好きではなくて、特にクライマックスの
アクションシーンとかはなくてもいいくらいなんだけど、それは無理ですか。
あ、でも最初の影の軍団の卒業試験の「人間迷路」は面白い画だった。なかなか。
それから、水を気化する何とかっていう機械は、ちょっと取ってつけてましたかねー。
もうちょっと重みが欲しかったところ。

久々にフィクションの楽しみをたっぷり味わった作品だった。
このくらいしっかり作られていると得をした気分になる。次にも期待したい。

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