【満足。密度が濃い感じ。】
(内容を知らずに見た方が楽しめる作品です)
久々にかっちり系統ストーリーの映画を見た。普段見るのは雰囲気系統ですから。
詰まった感じで満足。下手に派手さがないところが良かった。
これで必然性のないアクションなんかが入ると、ちょっと白けてしまうところ。
アクションに限らず、大袈裟にしようと思えばいくらでも大袈裟になったストーリーだと
思うけど、そこを抑え目に作ってあるのがいい。
いやー、それにしてもショーン・ペンって「アイ・アム・サム」の人なんですねー。
パンフレットを見てびっくり。雰囲気が全然違う感じ。
ショーン・ペンもニコール・キッドマンも初だったが、どちらも役柄にははまっていたと思う。
が、最初のショーン・ペンの見せ方はどうかな。
あれでうらぶれたイメージがついてしまった。段々話が進むに従って、有能な捜査官なんだと
軌道修正は出来るんだけれど、それまでちょっとかかる。最初から仕事場での彼を
見せといても良かったのではないか。
実はショーン・ペンの役については違和感がある部分もわりあいあって。
突然自分の境遇を告白するところもそうだし、何よりイヴァン・アタルの死の辺りで
泣きすぎではないか。何であんたがそんなにでろでろ泣いているんだよ、と思う。
有能な捜査官にしては感情を表に出しすぎ……
はっきりした恋愛関係にしないのは良かったけど、でももっと恋愛風味がなくても良かった。
見た目の年齢に差を感じるのがブレーキになる。単に映画上のお約束に過ぎない、と見えてしまう。
ほんとに一刷毛くらいのあるかなきかの微妙な感じで止めておけば。
しかしそこまで微妙なものをハリウッド映画に期待するのは無理かな。と偏見を言ってみる。
ただ重大な失敗は、やはり大統領に銃を突きつけるシーンだと思う。
あの場面でSPが一人もついてない状況は有り得ないでしょ。
緊急避難の、いわばシェルターにニコール・キッドマンが入り込めるのも間違っている。
まあそうしないと話が盛り上がらないんですけど。
実はそもそもの発端の、暗殺計画を盗み聞きしてしまうという部分も変。
誰と誰が話をしているにせよ、あそこでする話ではない。黒幕は置いといても、
あの警備主任?が関わっているのであれば、職場でいかにも怪しげに密談する必要はないでしょ。
どっか別な場所でやれ!二人が一緒にいるところを見られたらまずいんだからさ。
本当は、暗殺計画があることは公にしなければいけないんだから、
「わざと」聞かせなければならないんだけど、それにしてはニコールが聞いたのって、
忘れ物を取りに戻ったという偶発的な出来事のせいだし。
警備主任の撮り方が、すぐ「この人アヤシイ」と思わせるようになっているので、
ここも惜しかったな。暗殺事件の真相がそれほど意外なものではないだけに、
意外性で驚かせることが出来るとしたら、彼の部分だけだったのに。
ここで「あっ!」と言わせられたらもっと良かったと思う。
とか何とか後から考えて気になるところは他にもあるけど、でも見ている間はしっかり楽しめた。
相当満足。しかし何度見ても楽しめる作品かというと違う気がする。
映画が骨と肉で構成されているとして、骨部分はなかなか。しかし肉の部分は量も少ないし、
味わいもあっさりしているので、何度も繰り返し味わうに足るだけのものがないというか。
これはあれですね、本で言えば本格推理に似ている。
あれも骨で読ませるジャンルであって、肉の部分は薄い、あるいはおざなりのことが多い。
でもまあ、そこが良くて好き、ではあるけれど。
うーん、充分満足したのにも関わらず、けっこう文句が並んでしまうのは何故なのだろう?
見てる間はソツなく作られていると思ったのだが。
……そしてイヴァン・アタルに、どうしてこんなに親しみを感じるのかも謎。
とにかく面白かったです。
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